SHORT | ナノ

「嫌い……嫌いだ!なまえなんか大嫌いだ!だからどこへでも行っちまえ、もう二度と顔も見たくねぇ。なまえのことなんかすぐ忘れてやる、お前と出会ったことを心の底から後悔してるよ!」

泣きながら、ウソップが怒鳴った。最後の最後まで彼は嘘まみれだった。手の平に爪が食い込んで血が滲むくらい硬く拳を握り、必死に何かに耐えるように私を突き放した。ねぇウソップ、私どうしたらいい?あなたがそんなに覚悟を決めて私と離れようとしてくれているのに、私は地面に根が張ったように動けないでいる。今まで聞いたことの無いくらい一世一代の大嘘を聞いても尚、離れたくない。ウソップのそばにいたいのに、あなたはそれを望んでいないの?

「……行けよ」

ついに、ウソップはそう言って私に背を向けた。隠しきれずに、そもそも隠そうとしているのかわからないくらいに彼の肩が震えていた。その姿を見た瞬間いきなり涙が溢れ出た。本当に、お別れなんだ。この偉大なる航路でそれぞれが別々の目標を掲げて海に出るということは、もう二度と出会えないかも知れないということで。……ウソップはもう、決めたんだ。偉大なる海の戦士になるんだもんね、こんなとこで立ち止まっていられないか。

「さよなら、ウソップ」

私は走った。新しい仲間たちが待つ船に。もう振り返らない、私もそう決めた。前だけ向いて走っていれば、いつかきっと前だけ向いて走ってきたあなたに会えるから。

真っすぐ、真っすぐ

好きだよ、好きだ。なまえのことが大好きだ!俺のそばから離れるな、目の届くところにいてくれ……忘れられるわけないだろう?お前と出会ったことがこの海での最大の奇跡だったんだから。

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