「あー……疲れた……」
「お疲れさま、Mr.9」
「今回は少し厄介な相手だった。これは給料を弾んで頂かねばな」
「そうだね、本部に問い合わせてみようか」
冗談混じりで会話を交わす。そんなことも凄く久しぶりのような気がした。私のパートナーである彼、Mr.9はつい先ほど一週間ほどの任務から帰ってきたところだった。何故パートナーである私が一緒に行かなかったかと言えば、本当は一緒に行く予定だったがMr.9がそれを拒んだからだ。危ないから、大丈夫だからと押し切られて置いてけぼりを喰らったわけである。仕方ないと言われれば仕方ないとも思えるのかもしれないが、怒っていないわけではなかった。パートナーである私を頼らないとは、実に不届きで失礼な男である。
「あ」
「ん?なんだ、なまえ」
「ズボン破けてるよ。縫ってあげる」
「お、おお」
怖ず怖ずとMr.9がベルトに手をかけた。彼が9の数字を貰う前、まだ私たちが駆け出しの下っ端だったころにもよくこうして破けた衣服を縫ってあげたものだ。最近はその回数もめっきり減った。彼が強くなった証拠かもしれないが、少し寂しい気もする。
「なんだか……久しぶりだな、こういうの」
無造作に渡されたズボンに緑色の糸が着いた針を通す。本当に、久しぶりだ。彼も同じように感じてくれたのかと思うと嬉しかった。
「……悪かったな、置いていって」
「うん。本当だよ」
「……ごめん」
下半身はパンツのみ、という間抜けな姿で彼がうなだれる。その姿を見て思わず吹き出す。
「なに笑って、」
「んー……?」
縫い途中のズボンを寄せ彼の隣に座る。外気に晒された彼のしなやかな脚が恥ずかしげに揺れた。細く白い太股に手を乗せると彼が小さく息を呑む。
「綺麗な脚だね、Mr.9」
「そ、そんなことはないさ。なまえ、君のほうが余程っう、」
つつ、と太股の内側に向かって指を滑らせる。わざと触れるか触れないかのぎりぎりの強さで行き来させ、微かに震える肌の感触を楽しむ。
「……っ、なまえ、もう」
「もう、なに?」
指を滑らせる行為から掌で全体を撫でるように移行する。ゆっくりと焦らすように撫でつづけると、我慢できないとでも言うかのように顔を真っ赤に染めたMr.9が私の手を握った。熱を帯びた彼の視線が私を捕え、やがて際どい口づけが唇を襲った。
「もう、一人にしないから。だから、そう怒らないでくれ」
彼の震えたようなその台詞は、今にも泣きそうに聞こえた。不覚にも可愛い、と思ってしまった私はあっさり彼を許すことにした。
きすみー、まいだーりん
許してあげるけど、ズボンはまだ返してあげない!
「お疲れさま、Mr.9」
「今回は少し厄介な相手だった。これは給料を弾んで頂かねばな」
「そうだね、本部に問い合わせてみようか」
冗談混じりで会話を交わす。そんなことも凄く久しぶりのような気がした。私のパートナーである彼、Mr.9はつい先ほど一週間ほどの任務から帰ってきたところだった。何故パートナーである私が一緒に行かなかったかと言えば、本当は一緒に行く予定だったがMr.9がそれを拒んだからだ。危ないから、大丈夫だからと押し切られて置いてけぼりを喰らったわけである。仕方ないと言われれば仕方ないとも思えるのかもしれないが、怒っていないわけではなかった。パートナーである私を頼らないとは、実に不届きで失礼な男である。
「あ」
「ん?なんだ、なまえ」
「ズボン破けてるよ。縫ってあげる」
「お、おお」
怖ず怖ずとMr.9がベルトに手をかけた。彼が9の数字を貰う前、まだ私たちが駆け出しの下っ端だったころにもよくこうして破けた衣服を縫ってあげたものだ。最近はその回数もめっきり減った。彼が強くなった証拠かもしれないが、少し寂しい気もする。
「なんだか……久しぶりだな、こういうの」
無造作に渡されたズボンに緑色の糸が着いた針を通す。本当に、久しぶりだ。彼も同じように感じてくれたのかと思うと嬉しかった。
「……悪かったな、置いていって」
「うん。本当だよ」
「……ごめん」
下半身はパンツのみ、という間抜けな姿で彼がうなだれる。その姿を見て思わず吹き出す。
「なに笑って、」
「んー……?」
縫い途中のズボンを寄せ彼の隣に座る。外気に晒された彼のしなやかな脚が恥ずかしげに揺れた。細く白い太股に手を乗せると彼が小さく息を呑む。
「綺麗な脚だね、Mr.9」
「そ、そんなことはないさ。なまえ、君のほうが余程っう、」
つつ、と太股の内側に向かって指を滑らせる。わざと触れるか触れないかのぎりぎりの強さで行き来させ、微かに震える肌の感触を楽しむ。
「……っ、なまえ、もう」
「もう、なに?」
指を滑らせる行為から掌で全体を撫でるように移行する。ゆっくりと焦らすように撫でつづけると、我慢できないとでも言うかのように顔を真っ赤に染めたMr.9が私の手を握った。熱を帯びた彼の視線が私を捕え、やがて際どい口づけが唇を襲った。
「もう、一人にしないから。だから、そう怒らないでくれ」
彼の震えたようなその台詞は、今にも泣きそうに聞こえた。不覚にも可愛い、と思ってしまった私はあっさり彼を許すことにした。
きすみー、まいだーりん
許してあげるけど、ズボンはまだ返してあげない!