SHORT | ナノ

「なまえちゃん、お手をどうぞ」
「……ありがとう、サンジくん」

ちょっとした段差にもかかわらず、サンジくんが丁寧に私の手を取った。こんなとき、私はちょっぴりもやもやする。

「いやぁ、それにしても今日は買い出し日和だなぁ。しかも隣にはムサい荷物持ちじゃなくてなまえちゃん!良い日だ〜」

どうせナミちゃんやロビンちゃんにも同じことを言うんでしょう?あなたは女の子の扱いには慣れているもんね。

「さぁなまえちゃん、どこから行こうか。なまえちゃんの好きな雑貨屋さん?それとも先に買い出しを済ませちゃってゆっくりデートでも……むふふ」

ひねくれた私。私は、臆病だ。臆病だからサンジくんの隣にいるのが怖い。知らないうちに傷つけられてしまいそうで、反対に傷つけてしまいそうで。

「……なまえちゃん?どうしたの?どこか具合でも悪い?」
「ううん、何でもないよ。先に買い出し済ませちゃおう」
「ハッ!これはなまえちゃんからのデートのお誘い?」
「違います」

だってあなたは、さっき重ねた手に何の意味も持ってないんでしょう?私はドキドキしても、あなたにとってはアタリマエ。

「よし、じゃあ買い物を早く済ませるには……」

だからもう、期待させないで。なんて言えたらどれだけいいだろう。

「サンジくん、行こ?」
「あ、え」

リストと睨めっこしているサンジくんの手をぐいっと引いて歩き出すと、予想に反して彼は大人しかった。でも私以上に熱い彼の手の平が、また私に期待をさせた。

友達以上恋人未満に潜む可能

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