あんあん喘ぐ女の声にギシギシとベッドが軋む音。それは壁一枚先にいる俺にも筒抜けだった。
しかし丁度エロ漫画を読んでいた俺にとっては、都合の良いBGM。現に俺はいつも以上に興奮を膨らませ、己のペニスでズボンを盛り上がらせていた。
喘ぐ女の主がクラスメートだから余計にだ。
BGMが流れだしてから早十分。
読んでいたエロ漫画も頁数を重ねるにつれ、内容の激しさが増す。視覚も聴覚もピンクに侵された俺は耐え切れずベルトに手をかけた。ガチャガチャと金属がぶつかる音。ベルトが外れるなり、スラックスとボクサーパンツを一気に膝までずり下ろした。
勢い良く飛び出してきたペニスは既に完勃ちしており大きく反り返っている。先端からは我慢汁が流れでていた。
それを包みこむように優しく掴むとゆっくり上下に扱き始めた。
ん、ん、と気持ち良さから声が漏れる。声は出来るだけ抑えた。そうしなければ向こうに聞かれてしまうからだ。お隣りの性交をオカズにオナったなんて知られたら、彼女と合わす顔がなくなってしまう。それは避けたい。
だが気持ちとは裏腹に己の手は自身の弱いポイントばかりを弄る。そして弄る度に快感が走る。
何度も理性が吹っ飛びそうになった。次第に快感をもっと沢山、そして早く得たくて扱く手が自然も早くなる。ぐちゃぐちゃと溢れ出る我慢汁が扱きの手助けをしており、滑りがより一層良くなる。
「んっ…あ、あっ!」
たまらず声が出る。シュッシュッシュッ。手は止まらない。寧ろ早さを増すばかりだ。
お隣りもスパートをかけているのかスプリング音が性交の激しさを物語っていた。それに合わせて俺自身もラストスパートをかけた。
「んっ、あ……あっ、」
徐々に興奮は絶頂へ、理性は快楽へと招かれる。
扱く音に隣からのスプリング音と喘ぎ声が頭の中で何度も反響する。ただでさえ高まっている興奮が更に高まった。扱く手と腕に力を更に加えれば強い快楽が俺を襲う。息が荒くなり、ペニスはびくびくと痙攣しだした。
「(もう、限、界や……)あ、あっ、ああ……!!」
喘ぎ声と同時に大量の精子が先端から飛び出した。
どく、どく、っと脈を打つ自身は留めなく精子を出し続ける。四方八方へ飛びちった精子は俺の手や衣服を汚した。
「はぁ、はぁ、」
息が整わない。ペニスは未だ痙攣していた。
壁にもたれ掛かり、ゆっくり呼吸する。出し切ったのを確認すると、そそくさにペニスや手を拭った。
手に付着した精液を見るなり俺は頭を項垂れさせた。やってしまったという感じだ。
最後の最後で甲高く喘いでしまった。当然、隣にも聞こえただろう。明日から彼女にどう接したらいいのやら。俺は頭を悩ませた。はぁ、と大きな溜息を吐くと頭をがむしゃらに掻いた。
「にしても暑いっちゅーねん……」
興奮の余韻でか、額から汗が流れる。喉もカラカラだった。何か飲もうと冷蔵庫を開けるが、丁度きらしていた。
(……買いに行くか)
気怠く感じながらも体を起き上がらせるとずり下ろしたズボンを穿き直した。そして財布だけを手に持つと玄関に向かう。
ドアを開けると、まるでタイミングを見計らったかのように隣の扉も開いた。
(え、嘘やろ……?)
恐る恐る隣を見た。そこにはやはり先ほどまで喘ぎ声をあげていたであろうクラスメートの姿があった。
神とは意地悪な者である