すまん、別れよう。
 そう告げられたのは、もう一ヶ月も前のことになるのか。まだ昨日のことに思えるほど、記憶には鮮明に残っていた。

 部屋の片付けをしていれば、バサバサと写真が本の隙間から落ちてきた。
 ああ、これはと思い、写真を手にとった。写真には男女が仲睦まじそうに写っている。その男女とは勿論私と当時の彼氏、仁王であった。それは二人が初めてデートに行った時に撮った一枚である。私は懐かしむように写真を撫でた。

 他の写真も手にした。これは海に行った時の写真。確か皆でビーチバレーしたなぁ、と思い出に耽った。
 体育祭の時、文化祭の時、そしてクリスマスの時。クリスマス、仁王に初めて指輪をもらったことを思い出した。その時に、いつか結婚しようと永遠を誓ったことも。今となったら、その指輪も引き出しの中。

 恋愛なんて呆気ない、そう思うと同時に涙が溢れた。


愚かな人間よ

二人に永遠なんてなかった
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