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「なぁ、あの二人と知り合いなのか? 長太郎のこと呼び捨てにしてたし」

 二人と別れた名前たちは再び体育館に向かっていた。その途中に先程から気になっていたことを鳳に聞いた。
 二人に何も聞いてないのと言われ、頭を頷かせると鳳は新事実を話し始めた。

「二人ともテニス部で俺の先輩なんだ。勿論レギュラー入りしてる。因みに宍戸さんは俺のダブルスのパートナー」
「へぇー、……ってまじかよ!」

 本日二度目の驚きだった。
 まさかあの二人もテニス部だと思いもしなかった名前は意表を突かれた気分になった。
 でも直ぐに納得した。顔が整っていたからだ。ほんと美形揃いなんだなと呟くと、鳳が不思議そうに名前を見た。

「名前も十分可愛い顔してると思うんだけどな」
「何か言ったか?」
「ううん、何も」
「そっか」

 なら良いや、と素っ気なく答えると、名前は早足で体育館へ向かった。勿論、迷子にならないように鳳の手を引きながら。
 しかし誰かとすれ違う度に、
「手ぇ繋いじゃってラブラブじゃん」や「鳳ー、まさかの男の恋人かよー」などと茶化された。
 その言葉に鳳は頬を赤くして照れてるので、余計に茶化してくる。

「(…俺は男だっつーの)」

 野次馬たちの言葉に名前は少なからず苛ついていた。それに気付いた鳳が小言でごめんねと謝る。

「何で長太郎が謝まるんだよ」

 別に長太郎の所為じゃないと不機嫌に言う名前に鳳は困ったように笑った。


***


 冷やかしを聞いては怒って、その度に鳳が宥めて。そんなやりとりを繰り返しているうちに体育館に着いた。
 早速、名前は体重測定場へ、鳳は身長測定場へとを移動した。
 名前が体重計を乗っていると、丁度鳳も身長を測っているところだった。

「はい、鳳くん185センチね」

 一瞬、耳を疑った。
 高いとは思っていたが数値にすれば凄いものだ。男子の平均身長を軽く十センチは上回っている。男子の割には低い名前からしたら羨ましい限りだった。
 体重を測り終えた名前は次に身長を測らないといけない。だが、どうも鳳の次というのが憂鬱で仕方なかった。
 かといって計らない訳にいかないので、渋々測定器に乗ると両手で耳を塞いだ。

 全て測り終えた後、鳳と合流した。
 その時、俺あんまり伸びてなかったやという鳳を名前が恨めしそうに睨んだのは言うまでもない。



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