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「おい、君たち」

 職員室に入ろうとした時、後ろから声を掛けられた。振り返ると、いかにも厳しそうな先生が立っていた。

「もうホームルームは始まってるぞ」

 二人を見るなり先生は元々険しい顔をより一層険しくした。そして幸村に対して、どうして立海の生徒がここにいる。許可証はとったのかときつい口調で問い質してきた。名前に至っては名前に学年とクラス聞いてきた。
 どうやら幸村は不法侵入、名前はサボりだと勘違いしているようだった。
 それに気付いた幸村は前に出ると弁解の言葉を入れた。

「俺は立海テニス部部長、幸村と申します。今日は来週の練習試合について榊さんにこの書類を渡すよう頼まれてきました」

 これがその書類です、と鞄から茶封筒を取り出すと先生に手渡した。先生は茶封筒に立海の印が押されているを確認すると職員室に入っていった。名前と幸村も続いて入る。
 暫くすると先生が二人のもとへ戻ってきた。
 
「今、榊さんを呼んだから少し待っててれ」
「分かりました」

 幸村に言うと先生は名前の方に目を向けていた。

「それで君は?」
「……俺は今日から此処に編入することになった名字名前です」
「嗚呼、例の編入生か。俺はお前の担任になる黒崎だ。まぁ自己紹介はさておき名字。どうして時間に遅れたのか理由を聞こうかな?」

 いかにも作り笑いですというような笑顔を浮かべる黒崎。
 彼の言葉で先日電話で言われたことを思い出した。
 “授業等の関係があるから職員室には八時半までにきてくれ”と言われていたのだ。そして現在の時刻は九時過ぎ。約束の時間はとっくに過ぎていた。

「先生、これには深ーい訳がありまして……」
「じゃあその深い訳を聞かせてもらおうか」
「いや、そのですね」

 問い詰めてくる先生に名前は助けを求めるように幸村を見た。しかし彼は苦笑いを浮かべるだけだった。

「やはりただの遅刻みたいだな。お前には遅れた罰として課題を渡します」
「そ、そんな」

 それだけを言うと先生は自分のデスクへと戻ってしまった。名前の悲痛な呻き声が職員室内に響いた。

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