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「ンマー、カクの奴役得だったな」
「まあルッチもおまけに付いて来ていますが。アイスバーグさん」
「あ、じゃいらね。ハルアだけで良い」
「ルッチハレンチだぞてめえ!とりあえずハルア下ろせ!」
「パウリー、アイスバーグさんのは良いんか?」
「…そろそろ伯父に返してくれても良いんじゃないか?」
!!!!
わわわわわ忘れてましたが、ここはガレーラの1番ドッグなわけでして!!
周りには皆さんがいるわけでして!!
つまり、ぜーんぶばっちり見られているわけでして!!!!
どうして今の今まで忘れてたんですかぼく…っ!!!!
「ひ、ひゃああああ…っ!!」
「ほれハルアも嫌がっとるじゃろ!よこせ!」
「嫌なわけじゃなくて!でも、でもおおお!!」
まさに醜態。
赤ちゃんみたいにしがみついて、わがまま言って!!
それも、家出から帰って来てすぐにこれですよ!?
これじゃあ、本当に赤ちゃんか小さい子です!!
「穴があったら入りたいです…」
「思いっきり意気消沈してるとこ悪いんじゃが、とりあえずこっち側にバトンタッチじゃぞ」
「クルッポー、触るな(ばっ)」
「悪いわねルッチ(ひょい)」
「!!!」
カクさんが伸ばした手をひらりとかわしたものの、かわした先にはカリファさんが。
するりとルッチさんの腕から引き抜かれ、気付けばカリファさんとアイスバーグさんの間に着地。は、はやわざ…。
「ルッチ、私たちから言っておきたいことがあるの」
「クルッポー、返せ」
「ハルアに関することだから聞きなさい」
「………っポー」
ぼくのことですか?とアイスバーグさんの方を見上げると、ちょっとだけ苦笑いをして頭をぽんぽんと撫でてくれました。
よく分かりませんが、それはぼくもここにいて聞いていて良いんでしょうか?
「あなたがハルアを勝手に独占している間にこちらで話していたことなの。」
「ンマー、ルッチ。お前ハルアにキス禁止で」
…………え?
「え、え、ええええ?」
「あら、ハルアが先に反応するとは思わなかったわ」
「ルッチは目ぇ見開いて威嚇しとるからのう」
話題にあがっているぼくが言うのもなんなんですが、それ、その。
……今更、じゃありません…?
「正確には口へのキスは無し。まあつまりは家出の前の状態に戻れってことだ」
「これでも譲歩しすぎてるくらいだ。自制を覚えろ」
「ワシらも見逃せないところまで来た、ということじゃ」
「分かるわね、ルッチ」
アイスバーグさん、ブルーノさん、カクさん、そしてカリファさん。
どなたも目を細めて淡々と吐く言葉が、威圧感に包まれて一緒に耳に届くような。
そんな重い重い言葉に、ルッチさんは皆さんを睨むばかり。
一触即発な雰囲気(どうしてこうなりましたか!)の中、ブルーノさんが小さくため息をついたかと思うと、なぜか両耳をそっとふさがれてしまいました。
え、ちょっと!本当に何も聞こえないんですが!ブルーノさん!?
「…何のマネだ、ブルーノ。クルッポー!」
「なあルッチ」
「?」
「お前がこの子にキスするなら、ここにいる全員が遠慮なく同じことをするつもりなんだが」
「!!!」
「パウリーなんかもっとすごいことするつもりじゃぞ」
「するか!!ハレンチだバカ!!」
「まあそういう訳なんだけど、どうするのかしら、ルッチ」
「クルッポー、お前ら…」
?????
ちょっとちょっとちょっと皆さん?
どうしてルッチさんを筆頭に目つきがますます鋭くなっていくんですか?
どうして鳥肌が立つほどに場の空気が冷えていくんですか?
そして何より、どうしてぼくには聞かせてくれないんですかーっ!!
ねえ知ってたかい、君ってまだ子供なんだよ
「こりゃあ今回はルッチの完封負けじゃな!」
「………(ギリギリギリ)」
「カリファ!社の裏のプールでハルアの家出帰り祝いパーティだ」
「既に手配済みです。ところでブルーノ」
「ん?」
「ハルアが耳を塞がれたままで膨れているようだけど?」
「!!」
あとがき
ルッチさん、一難去ってまた一難。
ガレーラの平和っぷりが愛しいです。
管理人:銘
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