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「ワシも!ワシももう頭撫でても良いのか!?抱き上げても逃げんのか?」

「むむむ…!ずっと逃げ回ってすいませんでした!」


「まあそこはハルアの成長の過程ってところだな。大事なことだし、終わったことだ」

「なんじゃブルーノその余裕は…!おぬしもしょぼくれておったくせに!!」

「フフフ…よく分からねえが、なんだかややこしいことになってたらしいなあ」

「うーん、お恥ずかしいです…」

「ハルア」

「あ、はい!なんですかルッチさん」

「お前に触れないのは…きつかった」

その場に膝を付いて、こつんとハルアと額を合わせたルッチの顔はブルーノたちには見えない。触れる髪がくすぐったいのか、少しだけ身を捩るハルアの方は顔を見なくても笑顔なのは分かる。

「ルッチさん、実を言うとですね」

「ああ」

「ぼく、頭を撫でてもらうのも抱き上げてもらうのも、ぎゅーってしてもらうの、みんな大好きなんですね」

「ああ、知ってる」

「昨日の今日でこんなことを言うのは、あまりに図々しいんですが…」

「?」

「その、久しぶりなんで…

いっぱい、触って下さい」

爆 弾 発 言
…とも取れるその言葉に、大人3人が揃って反応が遅れた。(もう1人は余裕で口笛を吹いていたりしたが)
そんな言葉を、いかにも恥ずかしそうに、かつ嬉しそうに言うものだから、カクが「さわっ…!!」と思わず口にしたことに誰も冷ややかな視線を送れない。
ルッチに関しては完全に思考停止で固まってしまったのか、それとも理性を総動員させているために動けないでいるのか。

「なんだ、そういうことなら俺の出番じゃねえか。こっち来なハルアちゃん、構い殺してや、おっと怖えな保護者サン」

「ハルア、避難所から戻ってそのままだろう。とりあえず着替えて来たらどうだ」

「あ!そういえばそうでした…!でも、ぼくだけじゃなくてブルーノさんも…」

「俺は後で良い。後で良いから今は自分の部屋に行け」

「???じゃあちょっと失礼しますね」

ぐいぐい背中を押すブルーノに不思議そうにしながらも、ぱたぱたと階段を上って行った姿は階上に見えなくなった。扉を開けて閉める音がしてから、ブルーノが今日一番の大きなため息をこぼした。

「もう何と言うか…頼むから帰れ」

「なんだ保護者サン、いきなり低姿勢じゃねえか。こんな朝っぱらから疲弊してちゃお勤めもままならねえぜ?」

「おぬし、ハルアに会いに来たんならもう目的は達成したじゃろう。これ以上ここを下らん好奇心で引っ掻き回してくれるな」

「せっかく俺の可愛いハルアちゃんの誕生日に狙って来たってのに、これだけで帰れってのは無理な相談だな」

「さっきからその『俺の可愛いハルアちゃん』とやらは何を根拠にのたまっている。耳障りだ」

「フフフフ!!殺戮兵器も一丁前に嫉妬かあ。そう言やあの子の黒いエプロン、ありゃあお前のかい」

「…だったら」

「ハルアちゃんの趣味じゃねえとは思ってたが、また可愛い独占欲じゃねえか、なあ」

「そろそろその無駄口をやめて、海にでも職業安定所にでも帰らんか!!ルッチも乗せられるなばかもん!!」

「ああもう、皆さんケンカしちゃダメですってばー!2階でも聞こえてますし、外にも聞こえてたら…!」

自分がいない間にこうなることを予想していたのか、手早く着替えを済ませて戻って来たハルアが階段を駆け下りてくる。
さすがに子供の前で声を荒げる訳にいかないカクは納得のいかない様子ながらも口を閉じるが、ドフラミンゴは不敵な笑みをやめない。

「ハルアちゃん、ちょっとこっち来な」

「おい…」

「ハルアちゃんには何もしねえさ。いちいちつっかかってちゃキリがねえだろ」

「はい、どうしましたドフラミンゴさん」

「動くんじゃねえぞ」

えっ、と聞き返す間もなく、動く間もなく。そして音も無く。
ハルアのエプロンがひっくり返したパズルのように細切れになって宙に舞った。黒い小さな布の欠片の集まりは、やはり音も無くハルアの足元に降り積もった。

「保護者サン、悪いがまた箒の出番だぜ」

笑うドフラミンゴと、目を見開いたハルアとカク。そして、びしりと鋭くなった殺意のルッチ。その4人を見たブルーノは、いきなりのことで真っ白になりそうな思考の片隅で、「ああ、店の再建はどれくらいかかるものだろう」と現実逃避に走りかけていた。



降り積もる災難に傘もさせず



「落ち着けって長官。ブルーノに電伝虫で何言われたんだ?」
「ブル、いや、じゃなくて、あああ!?」
「落ち着けってのに!!」
「なんだろうなー、嫌な予感しかしないチャパパー」
「ぐああああ訳分かんねええええ!!」
「だから落ち着けって言ってんだ狼牙あああああ」


あとがき
さらばエプロン…。
本当に余計なことしかしないドフラさん。敬意を込めてゲスミンゴさんとお呼びしたいくらいですね(褒めてますよ)

以下、ドフラさんの悪魔の実の能力の考察(と言う名の捏造設定)です。
見なくても全然大丈夫ですからね!閲覧注意!















ゲスミンg…じゃなくてドフラさんの代表的な技(?)は人を操ることですよね。しかし意識まで干渉できる訳ではなく、あくまで肉体を(たぶん指で)操るだけ。
あとは頂上決戦で見せた空中浮遊と、手を触れずに物(あの時は人体)を切断。

もうここまでくると、管理人が思い付くのは「イトイトの実」くらいなんですね…。
と言うか、もはやこれが定説なんじゃないのか…と思ってみたり。

なので我が家のドフラさんは「イトイトの実」の能力者として扱い、今回のエプロンばらばら事件もその力によるものとしています。
しかし本文中にこの実の名前は出すことはしませんので、いつか公式様が公開してくれるのをウズウズと待ちたいと思っております。誰か!SBSにハガキを!!←

管理人:銘


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