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もさもさもさもさ

「キリンさんこんにちは」

もさもさもさもさ

「ここはひょっとしなくても夢の中でしょうか?」

ごっくん

気が付けば見渡す限りの草原。
その空間には、パジャマ姿のぼくと、なぜかキリンさんの二人きり。
熱心に木の葉を咀嚼していた彼(彼女でしょうか?)に声をかけると、音を立てて飲み込んだ後に長い首を下ろしてこちらを見たと思ったら。

「不用心じゃぞハルア」

「!!!」

あまりに聞き覚えのある声で、キリンさんに用心の悪さを指摘されてしまいました!
驚いてぱちぱちっとまばたきをして、はて何か忘れているような?
不用心といえば……。

たしかお風呂に入った後に明日のパーティー…ごほん!お料理の下ごしらえをブルーノさんと済ませて、おやすみなさいを言って。…それから?
…ぼく、今日はベッドに入る前に部屋の窓に鍵を閉めましたっけ?

「ま、まど、んむぐ!!」

自他共に認めるほどに寝坊助なぼくにしては珍しくすぐに目が覚めましたが、がばっと身を起こした瞬間に塞がれた口にまたまたびっくり。
瞬時に室内に見渡せば、やっぱり鍵を閉め忘れていた窓は全開。そのむこうにはまだまだ夜中である証拠に真っ暗な空とお月さまとお星さま。

ぼくの口を塞いでる人に目をやれば、闇に浮かびあがったのはキリンさん…ではなくてカクさんの綺麗なぱっちりおめめでした。

「しーっ、しーっ!」

「むぐ、あうあん(カクさん)?」

「いきなりすまんのう、もう落ち着いたな?」

「んむー(こくこく)…っぷは!」

「すまんのう、起こしてしもうたな」

「いえいえ、カクさんのせいで起きたんじゃないんですよ」

実は夢の中でキリンさんに窓のことを注意されて、と言いかけて、あまりに子供っぽくて意味不明すぎると気付いて飲み込んでおくことに。
そんなぼくを知ってか知らずか、カクさんは開かれていた窓を閉じてくれました。

「そう言えばカクさんはどうしてここに?」

「んー、……。

…いや目がどうにも冴えての?
ハルアの寝顔でも見ればぐっすり眠れるかと思って来てしもうた」

そしたら窓が開いとったから、つい入ってしもうた。
そう言ってにかっと笑うカクさんに頭を撫でられて、いつものようにぐりぐりーっと。
…それにしても、なにやら妙な間があったような?

すっかり眠気が飛んでしまった頭はカクさんの手の温度や大きさもしっかりと感じ取って、つい今がお昼時のガレーラのように錯覚してしまいそうになります。
むむむ、でもこんな深夜に起きていることなんてめったにありませんからね。貴重な体験です!

「しかし入って来たのがワシじゃから良かったが、今度からはちゃんと戸締りに気を付けるんじゃぞ?」

「はい!泥棒さんが来たら大変ですもんね」

「うむうむ(いや正直ルッチの方が…)」

「カクさんで良かったです。…それに」

「それに?」

「起きてすぐにカクさんのお顔が見れてお声が聞けるなんて、明日はなんだか良い日になりそうで」

「…ああもうハルアっ!!」

「むぎゅ!」


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