その9-2 [ 14/50 ]

「お、お尻見えますカクさん・・・!(ぶるぶる)」
「うっわカク最悪だ破廉恥どころじゃねえよ・・・」
「パウリーおぬしキャラ違うじゃろ!その顔やめろ!
すまんついついハルアの尾が気持ち良いもんじゃから・・・!」

びゅおっ
「「「!!」」」

一陣の風が吹き抜けて、腕の中の存在がすっと消滅してしまう。
・・・これは、初めて会った時にフクロウがやっていたような。
と言うことは今回は。

「ルッチ!おぬし今の今まで地面にうずくまっておったくせに!」
「黙れハルアのズボンを下ろして何をするつもりだった。死ね」
「だからそれは尾を触っていて」
「どちらにしろ死ね」

死ね死ね言うな!
お前こそふわりと揺れた尾に異様に反応しとるくせに!

「無事か、ハルア」
「ひあっ!!」

額に口付けながら(やめろ!)囁けば、びくりと跳ねるハルアの体。
ルッチも驚いたようで、少しばかり眼を見開いたのが分かった。

「すいません、なんだか耳がくすぐったいです・・・!」
「・・・ハルア?」
「ん、声が、近くてっ」

顔を真っ赤にさせて耳を押さえてしまうハルアは、どうやら聴覚も犬のそれに近くなっているらしい。
ある程度近付けば普段以上によく聞き取れるらしく、ルッチの名を呼ぶ声にまた赤くなる。
いやいやと抱えられたまま小さくなってしまい、抱きかかえられた小型犬そのままの姿になってしまった。
もちろんそれを見逃す猫ではないわけで。

「ハルア、可愛い」
「や、ルッチさんいやです」
「隠さないでくれ、もっと見たい」
「すいませんどうか少し離れて話してください!」
「好きだ、愛してるハルア」
「〜んっ・・・!」

耳を押さえる手に口付けんばかりに近付いて、いつもより格段に甘い声にこちらは吐き気がこみあげた。
声に負けない程の甘い言葉に、ハルアはもうダウン寸前。それでもあの猫は耳を攻め続けてニヤニヤ。

いつもならハルアがやめろと言えば(そもそもこの子はたいていのことではやめろなんて言わない)すぐにストップをかけるルッチだが、今回はその自制すらどこかに捨ててきたらしい。
尾の方も忘れていなかったようで、小さな体を抱いた手は器用にも尾に伸びている。
それにまたハルアがいやいやと首を振るが、囁きも手もやめないままどんどん調子に乗る人間の皮を被った変態猫。

「も、もう本当に駄目ですってば!」
「可愛い(ぱく)」
「ひゃあああ!!」

「「いい加減にしろおおお!!」」

調子に続いて気分まで乗って来たらしく、囁き続けていた耳を今度はぱくり。
いきなりの暴挙にふにゃふにゃになっていたハルアも一気に覚醒し、ルッチの胸を叩くが効果無し。
それどころかハルアの抵抗を脳内でどう誤変換したのか、ちろりと舌まで出してまたにやり。新たな感覚にハルアがまた悲鳴を上げるが、恍惚としたルッチには届かない。

あ、ダメだこれ以上はダメだ!
と言うかかなり前の段階から既にダメだった!
ちょっとぼんやりしながら傍観してしまったが、これはやばい。色んな意味でやばい。
少し忘れかけていたが、こいつは正真正銘あの子に惚れているんだった。

「くらえええええ!!」
「!!」

少し前にカリファに『何かあった時に』と渡されていた包みの中身をぶちまけると、ルッチの体が一瞬くらりと揺れた。
抱えられたままだったハルアを急いで奪い取ると、鼻を押さえてぎろりと睨まれた。

「・・・マタタビか」
「そんな可愛いものがおぬしにも効くんか・・・」

グッジョブカリファ!!
腕の中で可哀相な程にぶるぶる震えるハルアの頭を撫でてあやすが、尾は完全に足の間に挟み込まれ、耳はへたりと力無く曲がってしまっている。
ここまで狼狽しているのは初めてかと驚いていると、まだこりないルッチが一歩こちらに歩み寄って来た。
誰か海軍でも自警団でも良いからこいつをしょっぴけ!!

「・・・ハルア」
「(ぶるぶる)」
「これ以上怯えさせるな!むこうへ行かんか!」
「さ、最後にもう一度だけわんわん言ってくれ・・・!」
「アホか!」
「わ、わんわん」
「〜っ!!!」

律儀に答えるハルアと、また飛び付いて来るルッチの両方に泣きそうになった。
ほぼ空気となりつつあったパウリーがロープで縛り上げ、すかさず頭を殴って気絶させたが、顔がニヤニヤしたままで恐ろしく気色が悪かった。
泣きそうなハルアにこれ以上無理を言うわけにもいかず、触り倒したい腕と心を無理やり鎮める。

「ンマー!ハルア首輪はまだ持ってるな!?(じりじり)」
「セクハラです。・・・ですがリボンくらいなら(じりじり)」

声にばっと振り向けば、見たこともないような良い笑顔の我らが雇用主と、メガネがやたらと輝いている同僚の姿。
ああ、まさかの第2ラウンドか!!


ネームタグには君とぼくの名前を刻んであげる


「カリファ、リードの手配を」
「既に手配済みですアイスバーグさん」
「戻って来いカリファあああ!!」
「も、もう嫌ですー!!」
ぽんっ
「あ!?無くなりました!」
「「ちっ」」
「だから戻って来いカリファ・・・!」



あとがき

さて、何時間土下座しましょうか!←
K様に「少年に犬耳と尻尾を!」と素敵すぎるリクをいただき、燃えたぎって書いたらこうなりました。
実はこれの前にもう1本書いてボツにしてます。説明に力を入れすぎた上、ルッチさんがリアルに犯罪一歩手前まで喜んで爆進するものだから、泣く泣くお蔵入りに。
ルッチさんの反応が見たいとのことでしたが、ど、どうでしたでしょう・・・。(ぶるぶる)
管理人としてはもっと絡ませようと思っていたのに、自制に自制を重ねるとこうなってました!(こら!)
なにはともあれ、K様ありがとうございましたー!
・・・これはまた本編でも生やすか・・・(ぼそり)
管理人:銘


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