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「破廉恥だこの野郎おおおおお!!」
「(びくっ!)」
「「やかましいハルアを怯えさせるな(っポー)」」
「ぐっ・・・!」
負けるなパウリー!
もっと言ってやれパウリー!
そいつらどうにかしてくれ頼むから!!
そっと見守る(決して近寄らない)他の船大工や事務員たちの心の声援も虚しく、ハルアを守る二人にいきなり出鼻をくじかれる。
期待の新人二人のいきなりの激変に、まだ周りはついて行けていない。
そんなうろたえる彼らの救いがパウリーだった。
二人に臆することなく意見でき、何より普段から破廉恥破廉恥とやかましいこの男。
お前ならやれる!あの二人を元に戻してくれ!とばかりに観客たちの声無き声援は彼の背中へ投げかけられるが、彼だって人間なわけで、二人に揃って殺気のこもった目で睨まれれば怯んでしまうのは仕方の無いこと。
「しかしパウリー、ワシらはただハルアとじゃれておっただけじゃろう」
「そうだっポー、いったい何をもって破廉恥なんだっポー?」
「て、てめえらキキキキ、キス、だとかなあ!!抱きしめたりだとか・・・!」
「兄貴分が可愛い弟分を抱きしめて何が悪い」
「一目惚れした相手に愛情を示して何が悪いっポー」
「な、てめえら、」
「むしろそれを破廉恥と捉えるおぬしの方が・・・」
「よっぽど破廉恥じゃないのかっポー・・・?」
「うわあああああああんバカやろおおおおおおおおお!!」
ああああああまた負けたー!!
はらはらと見守っていた観客たちは今日もがっくりと膝をつく。
しかしパウリー、うわあああんってお前。
こうしていつも通りパウリーが簡単に撃破され(ハルアが来て五日現在で五戦五敗中)、ついに観客たちの期待はラスボスに託される。
「ンマー!お前らまたやってるのか!」
キター!、じゃなかった、やっと来てくれた!
我らがヒーロー、アイスバーグさん!
島中から期待される彼は、こんな所でも思いを託されることになる。
しかしまだまだ甘い。
「ハルア、うちの奴らが悪いな」
「そんなアイスバーグさん!悪いなんて・・・!」
「嫌になれば俺のところに来ると良い」
社長兼市長の息子になれるぞ、と爽やかに笑う男に、観客たちは再び膝を地につくことになる。
ラスボス陥落―!!?
あんたもそっち側か畜生・・・!!
もう一回戻ってきて頑張ってくれよパウリー!!!
そんな観客の思いも虚しく、パウリーは木材の影から半泣きで様子を窺っていたりする。
「ハルアは愛されとるのう」
「まったくだっポー」
「「(・・・まったくもって煩わしい・・・)」」
「も、もしそうなら」
「「?」」
「・・・とっても嬉しい、です」
へにゃり、と。
その場にいた人間全員が笑うハルアの周りに花が咲いたのを見た。
傍にいたルッチ、カク、アイスバーグはもちろん、離れた場所で見守っていた観客やパウリーでさえ。
場の空気が柔らかいもの変わり、まるで笑顔が伝染するかのように頬が緩んでしまうような、そんな笑顔だった。
「「「「「(・・・・ああ、なるほど・・・)」」」」」
観客とパウリーは期待の新人二人の激変に妙に納得してしまったが、彼らはまだ知らない。
本当のラスボス、カリファがこの場に現れるまで・・・あと二十秒。
可愛い君に集団片思い症候群「「「さあ来いハルア!!」」」
「な、なんで腕を開いて良い笑顔なんですか・・・!?」
「兄貴分だからじゃ」
「父親だからな」
「俺だからなっポー」
「皆さんいやいやいや・・・!!」
「セクハラです(ずばっ)」
「「「「「(ラスボスキター!!)」」」」」
あとがき
ガレーラでいちゃいちゃ!
ちょっとした裏話になりますが、少年と潜入メンバーが離れ離れになる期間、現在は1年ということになってますが、実は1ヶ月ってことになってたんですね。
あんまり離しとくのもなあ、と1ヶ月にしていましたが、そうするとフランキーがW7にいない。プラスアイスバーグ氏が市長になっていない。
・・・という問題が発覚。
ぎゃあああ!と絶叫して手直ししたのはもはや思い出です(笑)
管理人:銘
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