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「ブルーノ様・・・」
もうどうして良いか分からない様子で、ハルアはこちらを見てくる。
ルッチとカクも空気読めとばかりにこちらを見てくるが、もちろんハルアのような可愛らしいものではなく、殺気のこもった暗殺者のそれだ。
参った。実に参った。
数十分前までは、和やかに二人でケーキを作っていたはずなのに。
まるで親子のような雰囲気を楽しんでいたのに。(これはカクに言うとうるさいので絶対言わない)
一体何が悪かったのか。
「さっさと答えろブルーノ」
「まあ答えは決まっておると思うがの」
聞くまでもなくこいつらが悪かった。
諸悪の根源二人はいけしゃあしゃあと催促してくる。
こいつらはぷるぷる震えるハルアが見えんのか。
特にルッチ、お前はガン見しているくせにその震えの意味を考えないのか。
「ブルーノ、想像してみい」
「・・・何をだ」
「ハルアが己の名を呼びながら駆け寄って来る光景を」
「・・・・」
任務から帰り、ため息を吐きながら塔へ入る。
そんな自分に駆け寄る小さな姿。
『おかえりブルーノー!』
・・・・・・・・・。
「・・・いいな」
「だろう」
「ブルーノ様あああ!?」
ハルアを護る唯一の壁、崩落。
しまった、策略にはまった・・・。
待て待て待て、ハイタッチするなお前ら。
そんなに青ざめてくれるなハルア。
「ハルア、ルッチだ。ルッチ」
「ルッチ様・・・」
「ハルア、ほれカクじゃ、せーの」
「カク様・・・」
「・・・待て二人とも。俺は呼び捨てを許可した覚えはない」
「さっきいいと言っただろう」
「そういう意味のいいじゃない」
「ええい往生際の悪い男じゃ!」
二人に挟まれて今にも泣きそうなハルアには悪いが、どうやらこれ以上は押しとどめられないらしい。
許せハルア、俺はこんなにも頑張った。
「さん付けだ。俺が許可できるのはそこまでだ」
「「・・・・」」
「ブルーノ様あああ!」
呼び捨てよりかは断然良いらしく、ハルアは思い切り俺に飛び付いてくる。
自分と比べれば軽すぎる体を受け止めて、若干申し訳ない気持ちで頭を撫でてやる。
粗相に気付き、申し訳ありません!とまた青ざめるが、その体を抱く腕にもう少し力を加える。
「ぼくはしゃいじゃって、ブルーノ様にこんな失礼な・・・!」
「ハルア」
「え、あ、はい」
「ブルーノ様、じゃあないだろう?」
ちゃんと護りきることができずに、こんなことになってしまったが。
それはそれ、これはこれ。
お互い、訪れた事態を受け入れようじゃないか。
「ブ・・・ブルーノ、さん」
良い子だ。さあ、早くケーキを焼いてしまおう。
そう言ってやれば、あちらも諦めたのか、困ったようにへにゃりと笑ってくれた。
「指銃!!」
「嵐脚!!」
「!!!っ鉄塊!」
「「なぜお前が一番最初に呼ばれるんだ(じゃ)!!」」
ああ、ケーキはまだまだオーブンには辿り着けそうにない。
君の声に飲み込まれる「ひゃあああ危ないですお二人とも!」
「俺の部屋で暴れてくれるな・・・」
「許さんぞブルーノ!指銃!」
「兄貴分のワシを差し置いて!嵐脚!」
「ルッチさん!カクさん!」
「「!!!!」」
あとがき
うわあ、気付けば初めてのあとがきです。
どんどんメンバーと少年が打ち解けていきますねー(他人事)
クザンさんに対して変なライバル心を持っていれば良いと思います。むふふ!
さあ、少年は皆を呼び捨てで呼ぶようになるのでしょうか!(他人事)
管理人:銘
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