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三人で外へ出て、洗濯物を次々干していく。
大人二人が争うかのようにものすごいスピードで進めるため、ハルアはそんな二人に洗濯物を手渡すので精一杯だった。
あまりにも平和すぎて、通りかかった役人が目を疑った程である。
え、CP9が何してんの!?とは言うわけにもいかず、黙って歩くしかないのだが。
あまりにも、あまりにも平和すぎた。
ぷるるるる、ぷるるるるる
だからこそ、ルッチの子電伝虫の鳴き声は一瞬で空気をぶち壊してくれた。
「「・・・・」」
「え、とらないんですか?」
「・・・はい」
『おせえぞ!カクはそこにいるか?』
「・・・はい、すぐに行きます」
時が来てしまった。
カクを引きずるようにして、ルッチはその場を後にする。
「お二人も行ってしまうのでしょうか・・・」
背後で小さく聞こえたつぶやきは、二人の耳にもちゃんと届いていた。
「ガレーラカンパニーが社員を募集し始めた。二人ともこれに潜り込め」
「「・・・・(ぎろっ)」」
「そ、そんな目で睨んだってハルアはダメだからな!?」
一応最後まで粘ってみるが、やはりスパンダムは首を縦には振らない。
机の影に隠れたまま、さっさと用意して行って来い!と長官室を追い出されてしまい、二人は仕方無しに自室へ向かう。
前もって荷物は揃えておいたので、すぐにでも海列車に乗れる。
けれど。
数分前にはハルアが自分たちの傍で笑っていたのに。
それぞれの自室にいた二人は、荷物を持って同じ目的で同じ人物を探した。
「「ハルア!」」
そんな彼らが相手を見付けたのはほぼ同時だった。
「その荷物・・・、やっぱり任務なんですね」
行ってらっしゃい、とは続けられなかった。
「すぐだ。俺はすぐにここに帰ってくる。」
「ワシは優秀じゃからの。ルッチよりもっと早く帰ってくるぞ!」
「ばかやろう、俺が先だ」
「ばかめ、ワシが先じゃ」
ちなみに、任務が終わった時はおそらく全員揃っての帰還である。
「ふ、ふふふ、あははははははっ!!」
「「!!!」」
思い返してみると、ハルアがこんなに大きく声を出して笑うのは初めてのことだった。
いつも何も言わずにへにゃりと笑ったり苦笑したりで、声に出しても控えめなものだったのに。
「あはははは・・・!!す、すいません・・・はははは!」
腹を抱えるようにして笑うハルアを、二人はぽかん、と見守る。
こんなにも感情を表に出されるのは初めてで、思考が完全にストップしていた。
「あまりにもお二人が、か、可愛くて!!あは、っはははは!」
お二人が、可愛くて。
この言葉で二人の頭は再起動させられた。
可愛いってなんだ。自分たちがか。
何がどうなってそうなる。
そして可愛いのはお前だろう!!!
再起動したての二人の頭は、残念ながら若干ずれ気味であった。
「ひー、ひー・・・。失礼しました、ふふふ・・・。
皆さんのお帰りを、お待ちしています。だから」
早く、帰って来てくださいね。
「「当たり前だ(じゃ)!!」」
「!!」
その小さな頬にぎゅっと押し付けるように唇を寄せて。
二人はさっさと歩いて行ってしまった。
その場に残されたのは、両頬を押さえてぽかんと口を開けるハルアだけだった。
言いたいことはまだまだたくさんあった。
早く帰れる保証なんて塵ほども無かった。
お前の方が可愛い、と説教もしたかった。
もっともっとその小さな顔に口付けてやりたかった。
だが、今はこれでお預けだ。
海列車の時間が迫っている。
走り出した二人は、お互いにやりと笑って口を開く。
「「帰って来たらもっとすごいことをしてやる」」
だから大人しく待っていてくれ。
そして覚悟していろ。
「「行ってくる。ハルア」」
名前の主はそこにはいなかったが、二人にはたしかにハルアの返事が聞こえた。
君に月と星をおみやげに「・・・さっきのはカリファとブルーノには黙っておかんと」
「・・・ああ」
「(ほ、ほっぺにちゅーされてしまった!)」
「何かしら、とっても嫌な予感がしたわ」
「ンマー、どうしたカリファ」
「いえ、何でもありませんアイスバーグさん」
あとがき
がんがん行きましょう!!(ぜえぜえ)
やっとちゅーしました!
少年は「ちゅー」って言ってると良いです。
可愛いですよね「ちゅー」って(笑)
ルッチさんたちとお別れして、少年大変だろうけど頑張って!(他人事)
管理人:銘
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