15-2 [ 31/101 ]


「すまーん!こっちに料理追加頼むー!」
「じゃあこっちもー」
「ブルーノ、昨日の料理はまだあるかのう」
「俺はウイスキーだ。クルッポー」
「うわ、席いっぱいじゃねえか」
「こっちの酒まだかー!?」

・・・・。
・・・はあ・・・。
カウンターといくつかのテーブルしか無い店内は満員御礼。
これがほぼ毎日だ。

酒場はある意味町で最も情報の集まる場所。
だからこそ俺はこのブルーノズ・バーにいるはずなのだが。
この盛況ぶりではもうそれどころではない。
この男どもは俺にCP9としての仕事をさせるつもりが無いらしい。

しかし、そんな状況も言い様と考え様で好機に変わってくれる。
・・・ハルアを恋しく思うのは、何もこの静かにウイスキーを飲む男だけではないのだ。(殴りたい)

もう一年もあの子の顔を見ていない。
もう一年もあの子の声を聞いていない。

ああ、参った。
分かってはいたが、こんなにもあの子の存在が大きいとは。
・・・だから行動に出た。

「どうしたブルーノ、顔色が悪いっポー」

「その割ににやにやしとるのう」

こいつら二人にはまだハルアのことは言っていない。
ちなみにカリファには既に連絡済み。
あらそう、と素っ気ない返事だったが、明らかに声が喜んでいた。
あいつだって自分と同じく、ハルアに一年会っていないのだ。
(こいつら二人は俺たちより一ヶ月遅くこちらに来た。腹が立つ)

もうすぐ俺の“小さな可愛い甥っ子”がやって来る。
そうしたらこの店の二階に住まわせてやるのだ。
そうだ、あの子の使うティーセットも揃えよう。
明日の昼前には着くらしいから、それまでに買い物に行かねば。

ああ、考えただけで。

「・・・楽しみだ」

「「?」」

「何でも無いさ」

甥っ子想いの伯父さんは、明日はやることがいっぱいだ。


+++++++


「ハンカチ持ったか?」
「酔い止めは?」
「ちゃんと毎日飯食えよ」
「歯磨きも忘れんなよ」
「「ルッチには気を付けろよ!?」」

「はい!頑張ります!」

昨日はなかなか寝付けませんが、それでも朝はやって来るものです。
塔の出口には、見送りのために皆さんが集まってくれました。(嬉しい!)
CP9の皆さんに、給仕さんたちも。

スパンダムさんとジャブラさんは、何と言いいますか・・・。
・・・お母さん、みたいです。
ちなみに、クマドリさんはあの独特の話し方が空気をぶち壊す!と給仕さんたちに睨まれています。ああ、クマドリさん・・・!

「きっとむこうの駅でブルーノが待っててくれているチャパパー」
「やっぱりこの岩持って行け!」
「ジャブラ、バカかお前は!?」

むむむ・・・、視界がかすんできました・・・。
泣きませんよ、なんたってぼくは男の子です!
さっきジャブラさんにいただいた大きな狼のぬいぐるみ(さすがに鞄に入りませんでした)をぎゅーっと抱きしめて、深呼吸深呼吸。

「ハルア、そろそろ海列車が出るぞー」
「よよい!あ!気をつ〜けえてえ〜」
「「「「クマドリさんうるさいですよ(ぎろり)」」」」
「(しゅん)」

ああ、大丈夫です。心配なんてしなくても良いんです。
絶対皆で帰って来ます。
その時はお月さまとお星さまをおみやげにできたら良いんですが。

「行ってきまああああああす!!!」
「「「「「行ってらっしゃああああああああい!!!」」」」」

さようならエニエスロビー!しばらくお別れです!
そして待っていてください、ウォーターセブン。
ブルーノさんの“小さな甥っ子”が今行きますよ!



海を渡って会いに行くよ



「・・・・」
「どうしたんじゃルッチ」
「胸が、ざわつくっポー・・・」
「どうせ飲みすぎじゃねえのか?」
「黙っとれパウリー!」
「ンマー、今日も賑やかだな」
「(ざわざわどきどき)」
「(ハルアはまだかしら?)」



あとがき

そわそわするルッチさんは大変可愛いと思うのです。(真剣)
行って欲しくないジャブラさんがぶーぶー言ってくれました。
しょうがないでしょ!こうしないと展開が進まないんだから!
・・・ふう、うちのジャブラさんは大きなガキ大将みたいなイメージです。
さあ、いよいよ舞台が移りますよー!(はらはら)
管理人:銘


[*prev] [next#]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -