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「CP9のカリファ様ですか!?
皆さんが強くて美しい方だと教えてくれました。会えて嬉しい、です」

照れているのか、くすぐったそうに笑う姿はやはり可愛らしい。
思わず腕が伸び、柔らかそうな黒髪を撫でてみた。
思った通り短い髪は触り心地が良く、また胸がほわっとあたたくなる。

この子には驚かされてばかりだわ。
頭を撫でるこの手は、見えないけれど血に汚れているはずなのに。
それなのに。

「あなたは良い子なのね」

「カリファ様?」

見上げてくる瞳に、また笑みがこみ上げてくる。
出会って数分で、随分とほだされたものだ。
言葉さえまだ少ししか交わしていないのに。

それなのに、
可愛い子だと思った。
良い子だと思った。

「良い子、良い子」

「・・・ハルア?」

・・・何をしているのかしら、この子は。

何故か、ハルアに頭を撫でられていた。
先ほどまでは自分がこの子の頭を撫でていたはずなのだが。
どこから持って来たのか、丸椅子の上に立ち、小さな掌で髪に触れてくる。

「ごめんなさい、でもなんだか・・・」

してほしそうに、見えました・・・と申し訳なさそうに言うハルア。

私が、頭を?
本当だとしたら、この子は私を驚かせてばかりいる。
拒否や否定の言葉を発さないままでいると、ハルアはまたへにゃりと笑って撫でてくれる。
髪に触れるほどの軽いものなのに、不思議と心地が良い。

この子を見てから、もう何度も思ったことだけれど、
この子、とっても可愛い。

おそらく愛しいと呼ぶこの感情は、自分には縁が無いように感じたが、この子が関わった途端、とても身近なものに思えた。
もしかして、この子を連れてきた大将青雉もそれを認めた長官も、この感情にやられたのかしら。
きっとそうに違いない。
だって、こんなにも穏やかなんですもの。

未だに髪を撫でてくれている小さな体を、ぎゅっと抱きしめてみる。

「う、ええ! カリファ様?」

「ハルア、ジャブラとルッチには気を付けなさい」

「え?え?」

きっと他のメンバーもこの感情には抗えないだろう。
あの冷静で冷徹な男でさえ、おそらくは。
単純なジャブラに至っては、一度気に入ってしまえば何をするか分からない。
まったく、考えただけでセクハラだわ。

すっと身をハルアから離し、ぽかんとした赤い顔に、またくすりと笑う。

「ハルア」

「は、はい!」

「さっきも言ったけれど、仲良くしましょ?」

そう言ってやれば、ぱあっと花が咲いたのをたしかに見た。

その後、給仕室に来たわけを話せば、ハルアはすぐにコーヒーを淹れてくれた。
・・・これは、ブルーノと並ぶか、もしくはそれ以上・・・。
今はカクと共に任務に出ている仲間の顔が思い出され、彼が帰ってきたらきっと教えてやろう、とささやかな楽しみができた。



毎朝私のためにコーヒーを淹れてくれる?



「本当にジャブラとルッチには気を付けなさいね」
「え、でもお二人もCP9で・・・」
「あの二人はおバカな犬さんと猫さんだから」
「い、犬さんと猫さん・・・!」
「(・・・逆効果だったかしら)」



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