例えるなら、そう、猫だ。

気高くて気まぐれ、それでいて淋しがり屋。

彼の人はそんな生き物であった。






「仲達」
「はい?」
名を呼ばれ、司馬懿は執務の手を止めて声のする方を見遣る。
「何でも無い」
「はぁ…」
こちらを向いている主、曹丕が表情も無く言うのを司馬懿は気の抜けた返事で返した。
一体、何なのだ。
執務に戻る司馬懿に程無く曹丕が再び声を掛ける。
「仲達」
「はい」
答えながら何とかその真意を探ろうと曹丕を窺う。
解らなければ負けの様な気がしてその表情をまじまじと見詰めていると微かに笑う気配がして。
「お前は本当に私の事が好きだな」
「なっ…!」
紡ぎ出された言葉に揶揄の色が混じり、司馬懿はさっと頬を朱に染めた。
その様子に曹丕は今度は機嫌良く笑う。
退屈凌ぎにからかわれただけなのか。
全くもって腹立たしい。
だがしかし。
「ええそうですよ。この仲達、曹丕殿を誰よりもお慕い申し上げておりますので」
事実なのだから仕方が無い。
自棄糞にそう言ってやれば、曹丕は一瞬きょとんとした表情になり、
「そうか」
と、これまた上機嫌な笑みを浮かべたのだった。






気高くて気まぐれ。

しかし、こつさえ掴めば取り扱いはそう難しいものでは無い。


寧ろ、その気まぐれすらも愛おしいのだから。



(手に負えないのはこの私、か─)















■■■

また勢いに任せて、今度は無双です。

懿丕です。

無駄にラブラブで済みません(汗)。

うちの二人はだいたいこんな感じです…。
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