こそこそこそこそ
2016/02/04 02:34

※「殺戮の天使」ザクレイ
「おりこーさん」言わせたいだけに書いた。
知らない方、興味ない方はご遠慮ください。
読んでも恐らく意味がわからないと思われます。










頭のイカれたやつ、と小さく言われた。
別段傷付いたわけでもないが、彼より一歩後ろに下がってうつむく。彼にどう思われようとレイチェルにはどうでも良いことだった。
ただ、この人に殺されれば。
彼が担いでいる鎌の切っ先が鈍く光り、それはレイチェル自身を映す。
死んだ目というのはよくわからないが少なくとも今は死への渇望により彼女の瞳には色が宿っている。
ちらつく目の前の灰色の光はなんとも強く誘惑してくるのだ。


「おいレイ」


元々寡黙であるレイチェルだったが、少しの異変にも鋭く気がついたのかアイザックが声をかけてきた。
包帯でぐるぐると巻かれた顔がこちらを覗く。
ただ見つめられるまま見つめ返していると、先程まで彼に担がれていた鎌がレイチェルの首にかかった。


「ちょっとイイ顔してんじゃねーよ」


興奮した声で笑ったザックがたまらないとでも言うように顔を近付けてくる。


「今、してた?殺せる?」

「バカ。お前を殺すのは俺が外に出てからだっつったろ」

「……そうだね。神様に誓ってくれたもの」


祈るように手を組んだレイをザックはしばらく見下ろしていた。
ここまで死に執着し、それを望むのにはなにか理由があるはずで。少なくとも今まで殺してきたやつは生を渇望し、執着し助けを求めていた。
自分より七歳は下であろう小娘がすでに生への終止符を打とうとしていることがなぜか腹立たしかった。


「なぁ、レイ」

「なにザック」

「なんで死にたい」

「……私は生きてちゃダメだから」

「なんだそれ。わかるように説明しろ」

「……」


近くの壁を伝って腰を下ろしつつ言ったザックは、なかなか返事が返ってこないことに気が付きレイを見た。
その瞳には相変わらず光はなかったが、それは『今』を見ず『過去』を頭の中で探っているようだった。
やがてかたかたと震え始めたレイは怯えたように体を小さくし、頭を抱えて蹲った。


「レイ?」


突然変わってしまったレイにさすがに驚きを隠せない。
嫌な予感がしたザックはレイの腕を引っ張り、自分の胸の中へ収めた。
名を呼びながら柔らかく頭を撫でてやるとハッとしたレイが顔をあげる。


「変なこと聞いちまったな」

「ザック……?」

「安心しろ。ちゃんと殺してやる」

「神様に、誓ってくれた」

「あぁ。だからこれも誓いだ」


思い出したくないなら思い出さなくていい。
『過去』ではなく『今』をみろ。帰ってこい。

大人しく自分の腕に抱かれ、無垢なそれを汚すように唇を重ねる。
ぴくりとレイの体が跳ねたが抱き締める力を強くして自由を奪った。


「誓い?」

「あぁ」

「唇をあわせることが?」

「そうだよ。何回も聞くんじゃねぇ」


気恥ずかしくなったザックはもう一度レイを腕の中へ迎え入れる。
柔らかな髪とその体はやけに自分を冷静にさせ、そして満たされた気持ちになった。
人を殺したときに得るあの血肉湧き踊るような優越感とはまた違うもの。


「だから、ちゃんと俺に殺されろよ」

「うん。二つの誓いがあるから」

「おりこーさん」


死んだ目ながらも口元に笑みを張り付けたレイの顔に、ザックは心の底から溢れてくる思いをグッと抑えつけた。
ーーー落ち着けよ、俺。こいつを殺すのは今じゃねぇ
たまらない気持ちにさせたその笑顔が恐怖に歪む日は近いのだろうか。
あの切っ先がレイの血で染まるとき、きっと自分は高らかに笑っているのだろう。
その日を待ちわびてるのは、彼女だけではないのだ。




「さっきの合わせてたの、長かったね」
「うっせぇ!掘り返してくんな!!」



END


レイが可愛すぎる。
キス自体を知らなかったらいいなぁーとか思って。
そしてザックは恋や愛の気持ちを殺人衝動と勘違いしてればいい。第三者に指摘されて、でもバカだから理解が追い付いてない感じがいい。
そしてレイに恋と言うものはーって教えてもらって自覚して、レイの一つ一つの動作にどきどきイライラむらむらしてたらいい。



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