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▼ どぼんとふわり

なんだか不思議な夢を見た気がする。私とノボリさん、そしてクダリさんが良く分からない世界に吸い込まれた挙句ドッペルゲンガーにあって気絶するというなんか妙な話。最近激務が続いてたからこんな変な夢を見たんだろうなぁと見慣れた天井を見ながら私はぼうっとしていた。この天井は仮眠室のものだった、だから私は倒れてしまったのだと思った。

「ボス…じゃなくてノボリさんクダリさん!ノッテさんが目を覚ましましたよ!」
「………ジャッキーさん」
「アー!マダ動カナイデネ!ノッテ頭ニ大キナコブガ出来テルカラ!」
「あだだ…すいません本当に。私記憶が曖昧なんですけれど倒れた原因って過労ですよね?」
「え…いや、あーその実は」

キャメロンさんとジャッキーさんは視線を虚空へと逸らしている、それにより頭の中にひとつ、嫌な予感が横切るが私はそれを認めない。ゲンガーは好きだしシャンデラとかムウマージなど等々ゴーストタイプ全般好きだ、でもこれとそれは話が違う!私はそういう仕組みの分からない奇奇怪怪は苦手なのに!

「気分はどウ?」
「あぁすみません大丈夫、で、す…え?」
「良かっタ、インゴとマティーが無理に引っ張るカラさぁ、キミ驚いて気絶しちゃってたの、OK?」

肩に手を置かれたので、しかもややイントネーションが違うのでシンゲンさんかキャメロンさんかと思ったがあの2人はもう少し強い。しかもどっかで聞いた事あるこの声。まさかと思い首をゆうっくり、効果音にすればギギギと右へ動かしてみればいわゆるイケメンと呼ばれる金髪の男性が。でもこの方、どうしてクダリさんと同じ制服着てるのかしら?しかも少し装飾が違う。私はこの男を知っている。それは確か昨日の良く分からない夢――夢…ゆめ、じゃ、ない。

「あ、あ、あ………」
「ん?」

震える喉からようやく絞り出した答えは、

「きゃあああああああああああっ!?」

思い切り叫ぶ事でした。

▲◎▽


「申し訳ございません!本ッ当に申し訳ございませんんんん」
「アー仕方無いヨ、ボクだって混乱シたし」
「でも申し訳なさ過ぎてもうっもうっ」
「ゴメン、ボクは本当に大丈夫だから謝るのを止めテ欲しいナァ。キミの両隣の人達の目線が超怖いシ」

そう金髪の男性その1、もとい名前をエメットさんと言う方に言われたので謝る事を止めたが正直申し訳なさで私の心は一杯だ。叫んだ次の瞬間、ドアを蹴破る勢いでノボリさんとクダリさんが仮眠室に飛び込んできたので更に私はパニックに、エメットさんもパニックになり仮眠室は阿鼻叫喚。騒ぎを聞き付けたクラウドさんが来てくれなければ私達どうなっていたか…落ち着いたのを確認してから私達は応接間へ。先にソファーで寛いでいるのが2人居て、こちらはノボリさんそっくりな仏頂面の方と私を男にしてみればこんなもんかな、と思う様な方が座って居た。そして上記の話へと戻る。

「先程は彼女が居なかったのと状況確認の為もう一度。わたくしはサブウェイマスターを務めさせて頂きますノボリと申します」
「ぼくクダリ!ノボリとは双子!でー、さっきまで居なかったこの子が」
「サブウェイマスター代理を務めさせて頂いてますノッテです」
「さっきは本当にゴメンネー、ボクの名前はエメット。で、こっちがインゴ。人見知りなだけだから仏頂面なのは許してあげテ?ね、インゴ」
「…先程は申し訳アリマセン。マティー、アナタも」
「つい必死で…本当にすみませんノッテ、さん?あー俺はマティーって言います。二人はサブウェイボスを務めていて、俺は一応サブウェイボス代理をやらせてもらってます」

へぇそうなんだー。…ん?今の会話で可笑しい所を見つけた、気がする。

「サブウェイボスって一体どこの地方の鉄道員ですか?カントージョウトはリニアですしホウエンとシンオウはそもそも鉄道無いですし」
「それがですねノッテ、かなり厄介な事になりまして…」
「絶対にバカにしないでね?…インゴ達何があったか良く分からないけれど、」
「ワタクシ達、どうやらパラレルワールドかラ来た様デス」
「え。……え?」
「ノッテ混乱してる」
「そりゃあアンタ等みたいにぶっ飛んだ頭してませんし理解出来ないでしょうよ…俺だって混乱してるってのに」

そんな、『チャリで来た』みたいに軽々言われても。

どぼんとふわり
(トサキントの如く口を開閉するだけです)







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