「お前やっぱり友達居ないんだな!」
無駄に高いテンションなのはシリウスだ。彼の元にはカラフル…真紅が目立つ包装用誌が目に痛い。見ただけで分かる、グリフィンドールからのプレゼントだ。
「はしゃぐのも良いけどここでそれらを開けるなよ」
「俺の勝手だろ!」
ガルガル威嚇してくるこいつは馬鹿か。リビングで悪戯グッズ見付かったら母上がまた大暴れだって事くらい分からないの?
「…まぁ勝手だけど俺とレギュラス巻き込むなよ」
「フン!つまらねえ奴!」
リアクションがお気に召さなかった様でシリウスは不機嫌な面に。俺にそんなん求めるなって…。愚兄は放っておいて俺は俺の仕事をしよう。どうせ呼べば出てくるであろうクリーチャーの名前を呼べば、――バシン!空気を震わせやって来た。
「お呼びでしょうか」
「例の物は無事に置けたか?」
「ハイ。アガスティア様の言いつけ通りに」
「よくやった。来年も宜しく頼む」
「勿体無いお言葉で……!クリーチャーは感激しております!」
「あと俺の部屋の引き出し、3段目にちょっとした失敗作があるから。お前達で処理してくれ、いいな?」
「かしこまりました」
「用はもう無い、下がって」
手元の本から目線を外さずに、クリーチャーへの用を淡々と言いつける。ちゃんと姿くらましの音がしたから大丈夫だろう。今年も命令と言う形でしかプレゼントを与えられないのは仕方の無い事だ。屋敷しもべ妖精に物を与える一番の方法は、命令以外の何物でもない。他の純血や貴族の家がどう扱ってるかは知らないが、我が家は"あの"ブラック家。ぞんざいな扱いをする事は……目に見えている。
「お前何やってんの?」
「片付けさせただけだよ」
「例のブツってなんだよ言えよ」
「言う必要性あると思ってんの?」
「俺はお前の兄貴だから知る権利が」
「ねぇよ。知る権利があるなら知る義務だってあるだろ。義務を放棄してるお前に伝える事なんてないだろ?」
あぁ大人げない。ハッと鼻で笑いながらシリウスを見る。ちょっとした苛立ちと恨み事をプラスして睨めば言葉に詰まったのか何も返せなくなった彼。その様子が面白かったので本を閉じ目線を合わせてやる。
「俺は、俺なりに動いてるんだ。考えなしにグリフィンドールに入るお前よりかは、な。まぁ今年は良いんじゃない?ポッターとかいう馬鹿とつるんでりゃいいさ。来年気を付けろよ」
「脅しか?」
「注意してあげてるんだよ。一応双子だからね、火の粉被るのは目に見えてんだ。精々頑張ってね」
これが俺からのプレゼントだよ愚兄。キャンキャン喧しい声を無視して俺は再び本を開けた。そう、今はまだ良いんだ。問題は新学期が始まってから。何が起きるか容易に想像できる事態を愁いながらクリスマスを過ごす……ホント最悪だね、早くこの家から逃げ出すべきだ。
退屈を噛み殺す
(子供は不便だよ、まったく)
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