零崎逆識の人生謳歌 | ナノ


▼ 手をつなぎたかった。



ずっと室内に居たせいか、体の関節がばきばき音を立てる。今何時だか分からんが、こちらの世界に飛ばされてから数日は経っているだろう。…電源を落としたモニターに映る俺の顔が死んでいるからな。決して元気とか大丈夫とかいう状態では無いけれど気分転換も必要だ、だからいい加減風呂に入るかと下着と服を手に抱え外に出た。

ボンゴレの基地は近未来チックな作りをしていて、ここはやっぱり未来なんだなと思う自分が嫌になる。認めても良い。が、納得するなよ俺。
重い足取りで風呂への道をズルズル歩いていると、奥の方からスーツ姿の野郎が歩いてくるのが見えた。誰だアイツ?疲れ目で若干ぼやけてよく見えないんですけど…どっかで見たことある気が。

「…キミ、もしかして10年前の東吉城かい?」
「だったら何だ………えーっとお前は雲雀、か?」
「ワォ、まさか君もこっち来てたなんて。早く帰ってくれば良かったかな」
「雲雀かお前!」

肩にいる黄色い鳥は変わらずだ。腰に差しているトンファーもギミックは変わっているとは思うがご健在。だがしかし、だがしかしだ。お前なんで俺に対してちょっとフランクに接してるのかな!アレか、時間の流れで角が丸くなったのか?

「丁度良い、話す事があるからおいで」
「ちょ、俺風呂!風呂に行きたいの」
「風紀にもあるから」
「ひっ雲雀さァん!?」

何故俺の手を握るんですかねそして引っ張る!ヤダヤダと反抗してみたものの、寝ていない体には無理だったらしく、俺はずるずると引きずられていったのだった。気持ち悪い位上機嫌の雲雀に。

手をつなぎたかった。
(な、なんなんだコイツ)




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