零崎逆識の人生謳歌 | ナノ


▼ 逆さまの世界のはじまり



「ごめんねすーちゃん。本当に、ごめん」

何故玖渚の嬢さんがそんな泣きそうな顔で笑うのか。どうして俺に謝るのか。今の俺には分からなかったんだ。


「お使い?別に構わないけど…」
「うに!さんくーなんだねすーちゃん」
「だってオフラインで動けんの俺と軋騎しか居ないし?」

ヴァリアー、なんて名前の裏社会に属する殺し屋軍団とドンパチやってからまだ1日しか経っていない。俺達は京都に帰ってきて、俺だけ嬢さんに呼び出し食らったので此処にいる。他の家賊は京都に構えていた家に帰っている。ちなみに家具の配送等々は赤神さん家が一晩でやってくれました何処のジョバンニだよ。世界の一角を担う人達にとてつもなく場違いな事させてかなり申し訳無い、ごめんね。

「多分長丁場になると思うからばっちり仕度して行って欲しいんだよ」
「了解了解。で、何すりゃあ良いのさ」
「僕様ちゃんもあんま知らないの」
「は?…え、どういうことなの」
「依頼主は僕様ちゃんじゃない、すーちゃんの仲介役って所かな?詳しくは言えないけど頼まれててね。手紙が届いてただけなんだ」
「そりゃまた奇妙な」
「だから取り敢えず京都来たばかりで悪いんだけど、今日の3時までに並盛神社に向かってちょーだい?裏社会組は今日寿司屋でお祝いやってるから鉢合わせしないと思うから」
「分かった、行ってくる」
「………頑張ってね、」
「なんだいきなり。嬢さんらしくねぇなぁ」
「………」

そして冒頭の台詞へと戻る。若干不思議に思いながら家に戻りリュックに軽い旅行気分で荷物を詰める。スペアの眼鏡と下着と煙草、携帯充電器に…渡された新幹線のチケットを使い京都から並盛に向かい3時少し前には神社の境内にやって来れた。ここも夏ぶりかぁと黄昏ていると名前を呼ばれた。

「あの!…零崎、逆識さんですか?」
「ん?そうだけど何」
「えっと手紙を知らない奴に貰って!あ、僕入江って言いますごめんなさい!」
「謝んなくて良いよ、睨んで悪かった」

なんで名前知ってんのなんて思ってごめん。手紙、という言葉でこの少年も嬢さんと同じ仲介役なんだと理解した。

「これを渡せって書かれてたから…今じゃなくて状況が落ち着いたら読んで下さい」
「あいよ、サンキュー」

少年は1通の手紙と良く分からん箱、そして鍵を1つ渡してきた。無くさない様リュックの中にしまい込む。そして顔を上げて思わず顔をひきつらせた。

「一応聞くけど、何やってんの入江少年」
「ごごごごめんなさい!でもやらなきゃならないんです!避けないで下さい!!」
「ちょ、ちょっと待て待ってって追い掛けてくる!?来るなやめr」

そこまでが俺の"こちら"での言葉だった。入江少年が真っ青な顔して持っていたバズーカの弾に当たった俺は白い煙に包まれて、思い切り咽せ込んだのが原因だから。

逆さまの世界のはじまり
(追尾機能とか聞いてないし)




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