「…ああああさん」
「なんださくまさん」
「ああああさんって1人っ子なの?」
いつもと変わりなく、そして全員揃っている芥辺探偵事務所。唐突にさくまさんに話し掛けられたが、やらねばならぬ課題はとうに終わっていたので適当に返事する。
「いいや私は妹だ、上に兄がいる」
「ダンタリオンは一番年上のが代表にならないんですか?」
「そうだ。いくつかの家から長女を出し、最も知に秀でた者をダンタリオンと呼ぶ。長兄は家を継ぎ次の代表候補を育て上げるのだ」
「じゃあああああさんはエリート中のエリートじゃないですか!良いなぁ頭良いのって…」
「最初から天才だった訳じゃないよ。…お世辞を言ってレポートを写させてもらおうと企む暇があるならさっさと手を動かせ」
「ギクッ」
目を輝かせていたさくまさんに容赦ない一言を掛けておく。ただでさえ人間という生き物は感情がある分欲も沢山あるからな。尻を叩かなければ今後のさくまさんの為ならず、だ。
「やーいさくちゃんああああちゃんに怒られてやくぁwせdrftgyふじこlp」
「何か言いましたか?」
「えげつない…」
今のはアザゼルが悪い。不意打ちで胸を揉むなんて、脳天にグリモア突き刺されると分かりきった事なのにな。甘やかしたり調子に乗らせてばかりいるとこんな駄目なクズになるのだぞ、と言えばさくまさんは妙に納得した。それでいいのか人間。
「じゃあお兄さんの事はなんて呼んでたの?」
「普通に兄上とか兄様だが」
「貴族臭がプンプンするわぁ」
「ベルばらとかでありそうですね」
「…私が可笑しいのか?」
「ダンタリオンは由緒正しき貴族ですからねぇ。私は一人っ子なので何とも言えませんが」
ベルゼブブに相談するが返事は何とも頼りない。貴族という縛りはやはり普通とはかけ離れているんだなと再認識しておこう。
「じゃあ私のこと姉様って呼んで下さい」
「いいぞ。…いや良くない可笑しいだろこの流れは」
「可笑しくなんかないですよー」
「ああああちゃん空気読まなきゃあかんやろー」
「空気の流れが明らかに可笑しかっただろうが。そもそもさくまさん、その課題は明日までで…」
「ああああちゃんが私のことお姉様呼びで励ましてくれたらきっと明日までに終わるかもしれない」
「………」
「さくちゃんの為や、腹くくってさっさとやらんかい!」
「………」
「さくまさんが単位落としたらどうするんですか?アクタベ氏がさぞかし困るでしょうねぇ」
「いや困らないだろ」
「困るな」
「………」
明らかに棒読みなアクタベ。そしてニヤニヤと笑う1人+2匹。あぁもう仕方ないなぁ、私はさくまさんにはかなわない。
「…お姉様」
「名前も!」
「りん子お姉様」
「もう一声!」
「りん子お姉様、わたくしめ早くお姉様と遊びたいです」
「私頑張る!ああああさんの為に頑張る!!」
「頑張って下さいませりん子お姉様…あぁ恥ずかしい…!」
なんて羞恥心を煽るんだ!何だかんだ言ってさくまさんを甘やかしてしまう、それに初めて下の名前を呼んでしまった…あぁ恥ずかしい。早く顔の火照りが治まってくれる事を切に願う!
くちびるがくすぐったい
ちなみに暫くさくまさんの携帯の着信音がこっそり録音していた私の「りん子お姉様」という音声だと気付くのは約2週間後の話となる。恥ずかしい…だが少し嬉しかったのは何故だろうか。
―――――
りん子お姉様と言わせたかっただけなんです、許して下さい!www
まったくと言って良いほどさく×要素無くてごめんなさい(´・ω・`)
赤面する薫さんが書きたかっry
長らく放置してすみませんでした。お持ち帰り等はμさんのみでお願いいたします。
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