愛多憎生 | ナノ





いつも通りに店を開き。いつも通りに店を閉める。7時から20時まで休む事無く店を開ける。路地裏を入ってすぐの私の店はいつも賑わう、という事はあまりなく大抵は池袋という街の構造に深く関わっている不思議な常連さん達とお喋りをしながらお茶を飲んでいる。毎週水曜を基本的に休みにして何かあったら前日に連絡を。サイトもメルマガも抜かりない。
大体休みは池袋の街を散歩したり必要な食材を買い足したり、秋葉原に向かったり。

かなり一般的な生活を送っていると自負出来るのだけれども。

「何かしら、一体」
「何、じゃねぇんだよぉ」
「ちょーっと聞きたいんだが」
「静かにしねぇとどうなるか分かるよな?」

表看板を仕舞おうと外に出たのを見計らったのかちょっと危なげな人達に路地奥まで連れ込まれた。良かった、刃物は持っているけれど素直に答えれば襲われたりしないレベルだわ。

「折原臨也とどういう関係だ」
「常連さんよ?あなた達はカラーギャングかしら」
「俺達はハートブロークン、今からお前は折原臨也をおびき寄せる為の餌になってもらう」

あらあらあら。どうしましょう餌ですって。でも大丈夫、安心したわ。だってぺらぺらとチーム名喋ってくれたもの。

「嫌、よ。ショッキングピンクの集団と一緒に居たら目が痛くなっちゃうわ。それに、」

私に勝てるのかしら?

そう言えば男達は猪さんの様に突進してきた。凸してきたわマジキメェwwwとか呟こうと決めつつとりあえず殴る。蹴る。ごめんなさい、流石に男女の差はあるから手加減無しに股間を蹴り上げた。うん、皆悶絶してるわ!
急いで携帯を持ってきて電話電話。

"代理人"さんにメールして、可愛い従弟に電話しなきゃ。あと面白い噂も聞いたから"食人鬼"さんにも!

うふふ、楽しくなってきたわ。




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