「――なんて、な!」
後ろを振り向きざまに足も回して蹴り1発。土手っ腹に命中したのかギィギィ良いながら骸骨みたいな風貌したストーカーがすっ飛んだ。鍵を仕舞い、ハリセンは持ってないのでポケットから取り出したのは貰い物の十徳ナイフ。ナイフは専門外なんだけど脅すにゃ丁度良いかもね。
取りあえず突進してきたストーカー野郎を軽くいなして脛に蹴りを一つ。石畳の上ではなく土の方に転がし、外からこちらが見えない様に。そして痛みで呻く野郎が地面に着けている方の手を躊躇なくナイフでぶっ刺して地面と片手を固定させた。騒がしくされちゃあご近所迷惑なので卍固めを忘れずに。勿論足でナイフをぐりぐりするのも忘れずに、だ。さっくり刺さって尚且ついい感じに抉ってくれるとは流石古屋頭巾製。
「ギッ!―――ッ!」
「煩ぇ黙れ静かにしろ。で、お前ドコの回しモンだ、吐け。裏か?…ま、殺気バンバン飛ばすから表だろうけどよー俺に何の用かな」
「ギッ、ギギッ」
「日本語喋れってばもー。全く、吐かねえと
殺すぞ」
「ッギャア!」
ぼそり、と耳元で囁いた言葉に突然暴れ出したストーカー。ちょ、痛い、痛いって片手振り回すなよ痛い痛、たたた止めろってば、オイ!
「目に入るだろうが!」
「ギャッ」
眼鏡を掠った事に頭来て首から手を離し腹部をがっちり抱え込んだまま勢いをつけてブリッジする。まぁ所謂バックドロップですねハイ。ぐぎゃっ、というかばぎゅっ、という様な何とも言えない鈍い音を立てたストーカー。嫌な予感しかしなくて体勢を戻してストーカーを見下ろし、溜め息。
「…あーぁ、」
殺っちゃった。
(side:tuna)
[どーしよコレ]
リボーンすらも唖然としていた。誰もが東君がやられる、と思っていたから皆驚いている。バーズなんか口を金魚みたいにパクパクさせている位だから。東君の動きを見ていたけどオレでも分かるくらい場馴れしている様な動きだった、まさか東君もマフィア?そんな訳無いよなぁ…。いつの間にか東君は家に入っていたみたいで、玄関からいつものバット用のケースを背負って出て来た。
[…おいそこの鳥、お前等どっから来た?]
[コクヨウ、コクヨウヘルシーランド、コクヨウヘルシーランド]
[黒曜ヘルシーランド、ねぇ]
カメラに気付いたのか目線がこっちに向いている。暫く無言が続いた後東君はにたりと笑って顔を近付けた。そして。
[ひゃはは、聞こえてんだろ、今から仏さん返しにそっち行くから雁首揃えて待ってやがれ。売られた喧嘩なら買うからな、きっちり御礼参りしてやんよ]
「ヒイッ!」
聞いた事もない位ドスの利いた声で恐ろしい事を言う彼は悪役の様だった。
延髄が呻くハグ
(3倍返しは常識だよな!)
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