「お菓子ちょーだい東君や」
「煙草口に突っ込むか?」
ちと俺はげんなりしていた。今日は10月31日、西洋はこの日をハロウィンとして楽しんでいる所もある。しかしここは西洋じゃない、東洋。日本国ですハロウィンある訳無いじゃない。そう無理して欧米文化に乗っかんなくたって良いよ大体ハロウィン収穫祭じゃん日本で何祝うの、米穫れたどーってか?ダサい。だから春日井俺菓子持ってません。
そう言って机に突っ伏したのが十数分前、今の状況どうしてこうなった。集まる視線、にやついた春日井の顔、それに場違いな笑顔の奴。俺は席を無言で立ち上がり窓を開ける。そして―――
「やぁノイ元気かい?いくら先生が春日井ちゃんだからと言って寝ていちゃあダメだよ学生らしく学生にあるまじきへぶっ」
「なーに不法侵入してんだよテメェはよォ?あ゙?」
「何やってんのー!?」
手に持つ弁当を剥ぎ取り超絶笑顔なレンの顔面にアッパーかましておいた。沢田が叫んでいるうるせぇな。
「アレはアレだ、心の清い者に見える妖怪」
「人だよね!?」
「残像だよ残像気にすんな」
「え、でもベランダから落ちてったけど」
「何言ってるんだ沢田、ここ2階だろ?大丈夫死なないから」
「大丈夫じゃないー!」
「そうだそうだ!幾ら何でも激しい過ぎる愛情表現なんじゃないかな?」
「復活してきた!」
司会の端に見えるオールバックにイライラを隠せず露骨に舌打ち1つ。仕方ないだろ、4時間目の前なんて腹減って死にそうなんだ、それに今日はハロウィンとかいう製菓会社の陰謀かなんかでまーた学校に菓子持ってくる奴がバレンタインの時よりは少ないがかなりいる事は確かだ。臭ぇ、甘ったるい臭いが教室に籠っていて非常に不愉快。そんな時に神経逆撫でする様な事したレンが悪い。
「ノイ、顔が非常に怖い事になってるよ」
「誰のせいか胸に手を当てて考えろや馬鹿が。それに弁当俺の鞄から抜いたのお前だろ、ハリセン部屋に取りに帰る前に確実に鞄に入れてたぞ俺は」
「あらら、ばれてた?」
「さっき伊織ちゃんと俊希に忠告されたんですー、なんだかんだテメェ等大人組が問題起こしてんじゃねェか!どうしてくれる!」
平和な生活を送ろうと日々努力してたのに酷過ぎる!特にアス、お前人識と一緒にヒバリンとランデブーしたらしいじゃないか…明日からの追いかけっこがハードモードからベリーハードに変化しちゃうじゃないの俺死んじゃう!
「あ、あのー…」
「何だ沢田」
控えめにこっそり沢田が話しかけてきた。あぁどうして俺の家賊にはこういう空気を読んで発言してくれる奴がいないんだろうか。
「その人は一体誰なの?」
「………俺の、戸籍上血は繋がってないけど一応兄貴」
「ノイのお兄ちゃんです、君が沢田君かうふふノイがいつもお世話になってます」
「え…」
「「「えぇぇぇぇ!?」」」
「東君兄弟まだ居たの!?」
「吉城は確か4男で下にまだ居た様な気がするよ?」
「春日井余計な事喋るな!」
「東君のお兄さんかっこいいですね!」
「そうかい?ありがとう」
授業崩壊とはこういう事を言うんだろうな、教師は生徒止めないし生徒ははしゃいで不法侵入者はいつの間にかに溶け込んでいる。こいつ等家帰ったら〆る、暴れ倒して酒飲んで寝てやる。掃除?俺やんないよ。飯も作ってやんない。
「東君大丈夫…?」
「あぁ、もうクソ…」
黒板が見えない
(悪戯も程々にして下さい)
ハッピーハロウィンでした!
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