カキーン、と青空の下良い音が響く。2年B組はただいま体育の授業中で今日はソフトボールの試合をやっている最中。今ので相手チームが三振したから攻守交代でバッターは俺。あーめんどくせえ、ガキ用だけどバットそれなりに重さあるし身内のせいでバットと言えば大将が頭の中に出てくる。もしくは逆識だな、アイツ大将の愚神礼讃と同じ位重いハリセン片手でブンブン振り回してんだぜ!?出夢には負けるかもしんないけどアイツも相当な馬鹿力だよな…
「いけー汀目ー!」
「逆転のチャンスだぞー!」
「へいへい、」
まぁひとまずソレは置いておいて。今の俺は零崎人識じゃなく汀目俊希なんで授業にきちんと参加しましょうかねぇ、どこぞの鳥みたいな頭の色した奴じゃないんで。そう思いバットを構え投げられようとするボールに狙いを定めた時だった。俺の名前が呼ばれたのは。
「俊希!早く!そのバットを、投げろっちゃああぁぁぁぁぁ!」
「大将!?」
え、まさかさっき大将の事考えたから現れたの!?と一瞬思ったが大将の後ろから聞こえてくる地響きに止まった思考が動き出す。そして音源を確認した瞬間俺は迷わずバットを対象に向けて投げ付けた。
「サンキューだっちゃ、お前等いい加減にするっちゃよ!」
「ぐわっ!」
「うごっ!」
「ヘブッ!」
愚神礼讃には程遠い物だけど大将は強い、(多分物凄く手加減して)後ろを追いかけて地響きを発生させていた風紀委員達を気持ち良い位にボッコボコにしていった。素手だったらあの位じゃ済まないよなぁ、昔は逆識も含めて兄貴と大将の3人は素手の方が強かったし。すっきりした顔で大将がこっちに近付いてきた。あー、体育教師のゴリr…じゃなくて榎本警戒してんぜ。
「貴様!何をしているんだ、校内は」
「煩い黙れっちゃ、ちゃんと事務室に行って保護者の名札貰ったのに追いかけてくるあいつ等が悪いっちゃよ。中学の頃から非行に走るのは頂けないっちゃから全員伸したけど文句あるっちゃか?」
「え、あ、いや…確かにそうだがしかし」
「用が済んだらさっさと帰るから安心しろっちゃね。と言う訳で俊希、弁当届けに来たっちゃよ」
「アレ?弁当俺忘れてた?サンキュー大将、助かったかも」
バットと一緒に弁当が渡された。おっかしいなぁ、確かに鞄の中に入れたと思ってたんだけど…ま、大将が持って着てくれただけありがたいと思うか。
「おい汀目、この人って」
「あー俺の兄貴に当たる人、血は繋がってないけど」
「いつも俊希がお世話になってるっちゃね」
「やめろよ、なんかオカンみたいだぞ言動が」
「きひひ、もう慣れてきたっちゃ…我が家は問題児しか居ないからな」
「キャラ崩れてるぜーかはは」
眉間を抑える大将。問題児ばっかって言うけど実際に問題児なのは兄貴と逆識だけじゃね?そう伝えたかったのに伝える事は出来なかったんだけど。
「ねぇ、これはどういう事なの?」
「は?っうお!危ないっちゃ何するんだっちゃ!?」
後ろから飛んできたトンファーに嫌な予感しかしない。すっくり、見たくなかったけどゆうっくり後ろを向いてみると嫌な予感しかなかった。
「汀目俊希の関係者かい?」
「そ、そうだっちゃ…?」
「ふぅん、不法侵入で咬み殺す」
「ちょ!ちゃんと保護者だって事務室に届け出出したっちゃ!」
「僕が秩序だ、関係ないね。汀目俊希、連帯責任でキミも咬み殺す」
「言ってる事無茶苦茶だっちゃよ!?」
「理不尽だっての!」
この後3時間目が終わるまで俺と大将は風紀委員長とワクワク☆パニック楽しい鬼ごっこを繰り広げたのは言わなくても察してくれるよな。な?
お前のせいで怒られただろ!
(酷い目に遭ったぞもう!)
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