今日の家庭科は調理実習、おいしいマフィンを作る事が目標です。いつもは逆識さんに食事当番人識君と押し付けてはいるものの、私だって昔は並みに料理出来た筈だしたまーにお菓子も家賊のみんなと作ってるからきっと食べられない味にはならない…と思います、多分。
「伊織ちゃんなんか凄く手際良いよね、女子って感じー」
「そうですかー?」
「うんうん!私もその位上手くなりたいな」
「うーん、でもお兄ちゃん達の方が上手かも…」
「何人だっけ」
「5人ですよう」
がっしゃがっしゃ、泡立て器を必死に動かしながら質問に答える。今も昔も、無桐伊織と中の良い子って決まって兄達に興味を示すんですよね。
「1人だけとてつもなく危ない暗黒物質生産しますけどそれ以外はみんな料理うまいんですよねー」
「いいなぁ、お兄ちゃん居て」
「うちんちなんか姉ちゃん超ズボラでさぁ…」
砂糖を篩にかけている友達が溜め息を吐いていた。ズボラなだけだったらまだ良いじゃないですか…
4人共うまい事にはうまいんですが、実は得意料理があるって知ってました?
人識君は日頃からナイフばかりいじってるせいか刺身の切り方は非常に上手です。それに比べて軋識さんは肉じゃがとかあの辺の家庭料理が非常に美味しいです、ポジションがお母さんですからなんでしょうか?
曲識さんはバーを運営している影響だか何だか知りませんがオシャレな料理が素晴らしいことになっています。パスタやマリネは曲識さんが1番です。そして逆識さん、酒好きも転じておつまみや揚げ物、特に唐揚げがとってもとってもとっても美味しいんです!運動会も増量してくれたのに唐揚げが争奪戦になる程家賊全身逆識さんが作る唐揚げが大好きなんですよ?ただ逆識さん、料理の腕は素晴らしいのに甘いものだけはどーしても作りません。曲識さんや人識君みたいに作ってくれればいいのに…
「、…さん、無桐さん!」
「はいっ!?」
「先生が呼んでるよ、代わるから行ってきなって」
「あぁすみません」
黄昏ていたら先生に呼ばれていたのに全く気付かなかった。握り締めていたボウルの縁を離して先生の元に走る。
「何でしょうか、って曲識さん!?なんでここに…」
呼ばれた先には先生…と教室の外に立っていた曲識さん。なんでここに?
「忘れ物だ」
「…あっ、お弁当」
突き出されたバックの中に入っていたのは私のお弁当箱セットだった。あれ?今日私、鞄の中に入れたはずじゃあ…ま、いっか。
「ありがとうございました」
「いや、別に。…何を作っているんだ?」
「今日はマフィン作ってます」
「…帰って作ってみるか」
「本当に!?やった!」
曲識さんのマフィン!頭の中でついつい小躍りしていると、いつの間にかにお友達のみなさんが寄ってきていた。
「ちょ、なんですかもう」
「あの!無桐さんの…お兄さん、ですか?」
「あぁ。妹がいつも世話になっている」
「イケメンですね!」
「ありがとう」
「料理が得意だって伊織ちゃんから聞いたんですけど」
「洋食と菓子なら」
「もし良かったら一緒に作りませんか!」
「いくらなんでもそれはダメでしょ、ねぇ先生」
「入門証は持っているし大丈夫でしょう。無桐さんのお兄さん、もし宜しければ無桐さんと一緒に参加していきませんか?」
「えええええ!?」
ちょ、幾ら何でも仮にこの世界リボーンの世界だとしても緊張感無さ過ぎでしょうご都合主義ありえない!しかも曲識さん頷いちゃってるし!
結局曲識さんは私が居る斑でひっじょーに凝ったマフィンを制作してから帰って行きました。また会わせろだの他の兄弟に会わせろだのうるさくなっちゃったじゃないですか!どうしてくれるんですかもぅ…
せんせー、止めて下さい
(悪くは無かったな)
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