零崎逆識の人間三昧 | ナノ




▼ 零崎逆識の未練



不思議には思っていた。

ジャンプで連載していた『家庭教師ヒットマンREBORN!』の並盛

でも俺達は当たり前の事と受け入れていた。

今居る世界は《2周目》ということ


―――『ありえない』事を。


「どういう事だ説明しろ」
「…簡単だよ。この世界に零崎逆識なんて人間は」

「存在しない」

死人は生き返らない。転生?2周目?…そんな漫画みたいなご都合主義は起こらない。

「もう嫌なんだよ!何もかも!全部!」
「東君、」
「俺だって生きたいさ!友達が欲しい!彼女も欲しいし家族だって欲しいさ!俺はただっ、お前みたいにさぁ!」

いつからだったんだろう。きっと最初からだ。

「普通に、幸せになりたかったんだ!!!」

へらへら笑えばいい。面倒事は避ければいい。女の子には誰にでも優しく。勉強して、容姿にも気を使い、何でもひとりでこなせればいい。そうすれば嫌われることはない。平和に。穏やかに毎日が過ごせるだろう。見たくない事があれば、邪魔なものは潰す。それで俺の欲しい物が手には入れば―――

「気に入らねぇなその面」
「げっほ、テメェいきなり何しやがる!」
「なんで何もしてないのに最初っから諦めてんだよ、諦めたらそこで試合終了だって知らないのか?」
「ハァ!?たく、何なんだよ…いきなり殴りやがってこのアマ」
「名前知りたかったら自分からだろ」
「………東。東吉城だ」
「良い名前じゃん。あたしの名前はな」


ほしいものが、増えたあの日。

「哀川潤っつーんだ」


両腕でかき集めても落ちていく。だったら俺ぁ何度でも拾い上げていくよ、強欲で結構だ。

「ひゃっはははははははは!先に行け沢田ァ!」
「東、くんどうして!?」
「今の俺は東じゃねーよ」

物語の鬼って物は大体そういう相場だって知っているから。

「俺の名前は零崎逆識!人類最好の殺人鬼だ、覚えとけ!」

許されるならこのチャンス、存分に使わせて貰おうか。

「物語はハッピーエンド、そう相場が決まってるんだよ。な?そうだろ――潤」

人生を謳歌せよ、少年よ!

「―――愛してる」


終焉には、まだ早い。



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