「へぶしっ」
ズレた眼鏡を戻して鼻を啜る。秋なのかねぇ、一瞬背筋がゾクッと来たよ。
ビニール袋片手にぶらぶらほっつき歩く俺は携帯を取り出した。そして人識に電話する、気付くかなー?
[逆識?]
よし出た。しかしうるせえ、カラオケのバックミュージックが非常に煩いです。
「ハァイそうですよー。頼まれたマンガ買ったよ、後で俺にも見せてよ」
[分かった]
「あと今日家帰んない、3人は仕事で居ないからゲームし放題だぞ」
[マジ!?え、お前はどうしたの?]
「いや野暮用?ホラ一応東君不良なんで不良らしくしようかと」
[オッケー把握した。飯用意してあんだろ?]
「野菜炒めがあるからラップでチンしなさい」
[サンキュー、じゃあもう少ししたら帰る]
「マンガ玄関に掛けとくから。じゃあね」
電源ボタン押して通話を切る。丁度家の前来た事だし鍵出すかねー、そうだ忘れてた。鍵掛けるの忘れて行ったんだ、でも大丈夫だろう。もし泥棒誰かの部屋入った時点で腰抜かすだろうし。この時間帯は人通りが少ないけど大丈夫だろう。………多分。俺は折角出した鍵をポケットに仕舞い込んで。
(side:tuna)
廃墟に映し出された映像にはハルと京子ちゃんが映っていた。目の前でニタニタ笑っているおじさん…バーズは仲間の三つ子を使ってオレに脅しをかけてきた。渡されたこのナイフで、自分を刺さなきゃ2人は痛い目に遭うぞ、って。痛いのは嫌だし足がガクガクする位怖い。でもバーズが飼ってる鳥に仕掛けられたカメラから送られてきた映像は京子ちゃんの後ろで塩酸のビンを片手にした三つ子の1人が映っていた。
「絶対絶対だめだ!関係ない京子ちゃんを酷い目に遭わせるなんて出来ない!」
怖い、逃げたいよ。でも今オレが逃げたらハルや京子ちゃんはどうなるの?獄寺君や山本だって自分の事を顧みずにオレの事を庇ってくれたんだ。だから、だから、
「ここここ、これ位ー!!」
目をぎゅっと瞑ってナイフを膝に突き刺そうとしたその時だった。ボゴォッ、と鈍い音が聞こえてきたのは。
「ど、どうした!」
[ザザッ…お前みたいなヤツがロリ…ンの印象を悪くするんだよ。ハーイ京子ちゃん、助けに来ちゃったよ]
「dr.シャマル!」
カメラに映るのは塩酸…ではなく、倒れた三つ子と京子ちゃんに一緒に居たらしい黒川、そしてシャマル。なんでシャマルが居るんだ!?驚いているとハルの映像の方からもバキィッと痛そうな音がしていた。
[ハルさんお怪我はありませんか]
「あれは!」
[許せないな、女性を狙うなんて]
「大人ランボに大人イーピン!」
「バカな!次から次へと、この事は誰にも知られていない筈なのに!」
[言われた通りにハルさんを見張ってて良かった]
[ヤツの読みはドンピシャだったな]
「言われた通り?奴って、まさか…」
「良かったな、困ってる時に助けてくれる奴がいて」
「リボーン!」
シャマルもイーピンも(ランボはランボで)すぐに三つ子を倒していって、凄い殺し屋だったんだ!と改めて思った。でもバーズは三つ子って言ってるけれどハルと京子ちゃんんに1人ずつ着いていたからまだ2人しか倒していない。…じゃああと1人は?獄寺君も山本も、ビアンキも思っていたらしくバーズに問いかけた。
「三つ子って事は…あと1人足りないわね」
「オイ、あと1人どうした」
「ウジュ、ウジュジュ…もう1人?そりゃあ勿論、」
ニタリ、笑ったバーズを見て背筋がゾクリとした。いやな予感がする。パッと映像が変わって――
「なっ!」
「ヤベーぞ。予想外だ」
「オイこの髪って、」
映っていたのは黄色い髪。
「やってしまえ!そのガキを殺すんだ!」
バーズが叫び、映像の中の三つ子が両手を上げて、
「東君!!」
君の声が聞こえるこの場所で
(叫ぶ事しか出来ないなんて)
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