(side:other)
「―――骸様」
其処はとある廃墟の中。薄暗く埃臭い室内には数人の気配がする他には誰も居ない。
骸、と名前を呼ばれた少年はシニヨンに似せた髪形をしており珍しい事に瞳はオッドアイだった。彼は声がした方に視線を動かす。
「おや、目を覚ましましたか?3位狩りは大変だった様ですね千種」
「ボンゴレのボスと接触しました」
「その様ですね。彼等遊びに来ていますよ、犬がやられました」
「!」
「そう慌てないで下さい。僕等の援軍も到着しましたから」
千種――先程商店街で獄寺と喧嘩を繰り広げていた少年は骸の言葉で制止する。犬、というのは彼等の仲間であるがどうやら察するにボンゴレの沢田綱吉一行に敗れたらしい。気持ちが急くのは仕方が無いだろう、仮にも幼き頃から行動を共にしていた"仲間"なのだから。
最近起きている並中生無差別暴力事件、それはこの少年等によって起こされた出来事だった。六道骸を筆頭に柿本千種、城島犬、他総勢9人の脱獄囚がボンゴレの力を手にしようと手始めに時期ボンゴレ10代目候補の沢田綱吉を手篭めにしようと企んだ結果、並森全体を巻き込んだ騒動を起こす事態にまで陥ったのだ。
「…何しに来たの?」
「まー、相っ変わらず無愛想な奴ね!仕事に決まってんじゃん骸ちゃんが一番払い良いんだもの」
「答える必要はない」
「「「………」」」
「スリルを欲して、ですよ」
「千種はゆっくり休んだ方が良い。ボンゴレの首は彼等に任せましょう」
物腰柔らかな口調とは裏腹に目には冷徹な光を宿している骸。そんな彼に千種は何かを思い出したかの様に話しかけた。
「骸様、少々気になる事が」
「どうかしましたか?」
「ボンゴレのボスと遭遇した際、ランキングに乗っていない奴と会いました」
「…それが?」
「裏の殺気を放つ奴でした」
「!、千種特徴は覚えていますか?」
「眼鏡に黄色の髪、武器はハリセン…裏社会の物より一際冷たい殺気を一瞬だけ」
「…ククク」
「骸様?」
「クハハ、クッハハハハハ!まさか裏世界の人間が居るなんて!よくやりました千種」
愉快愉快、と言わんばかりに笑った後、彼は並盛町がある方向へと目線をやった。
「ボンゴレならずあの人類最好までもが居るとは…これは少々骨が折れそうだ…クフフ、」
深紅の瞳が妖しく光った。
眼窩に潜む欲望
(彼は…確か"零崎逆識")
prev / next