俺達、裏世界は裏社会と混じる事は無い。裏社会は表世界のいわばグレーゾーンだ。裏世界からしてみればそれらはどう頑張っても『ごっこ』にしか見えない。1つの世界で足掻いても、残りの3つが動けば全て『無かった』事になってしまうから。それ故にお互いがお互いを見ないフリをしている。俺もその内の1人だ、なんだかんだ今の生活を気に入っている。大切な家賊が皆生きている、夢じゃない、死んでいない。だからこの生活を守る為、面倒事になりそうな火種には近寄っていなかった。だから知らなかった。
すっかり馴染んでいたがこの世界は異常だという事を忘れていて、尚且つこの時期からある事件が起きる事を。そう、忘れてはならなかった。裏世界が存在していてもベースはREBORN、起きる出来事はすでに決まっている。俺達という異分子が入り込んでもどうせ何らかの形で"それら"は起きる。狐の旦那の言葉を借りればバックノズル、時間収斂だ。
「う、うぅ…」
「よえーよえー、風紀委員恐るに足らず!」
「貴様等…何者だ…」
「んあー?遠征試合にやって来たとなり町ボーイズ?」
「それつまんないよ、早く済ませて」
「こいつ何本だっけか?ちょっくら頂いていくぴょーん!恨まないでねー、命令だから」
「ま、待て止めっ」
「ほい」
「うぎゃぁぁぁぁ!!」
闇夜に響く叫び声。
―――これを以て黒曜編が始まる、俺は知らなかった。
「なんでこんな人少ないんだよ春日井チャン」
「あら逆識クン知らないの?遅れてるー」
「知らねえモンは知らねえよ」
新学期始まってから俺はなんと毎日学校に来ている。最近可愛い弟&妹が毎朝しっかり叩き起こしに来てくれるのと風紀委員長様が突っかかってこない事が繋がっているのかどうか分からない、が余計な詮索は止めておこう。しかしだ、台風も無いし人身事故あってもここは公立関係ない、なのにインフル流行時並みに生徒来てないってどういう事だ俺帰っちゃうぞパチンカスになっちゃうぞ。
「なんか最近並盛物騒なのよねー」
「そういや聞いたな」
「この土日でリーゼント頭が大量に襲われてさぁ、風紀委員長のスズメ君?凄いよ?イライラが」
「ヒバリね、スズメじゃなくて。マジで?」
「マジマジ。しかもリーゼント以外の生徒も襲われちゃっててさぁ、こっちも大変大変。さっきから電話が引っ切り無しに鳴ってるの。ドモホル●ンクのオペレーターって凄いわ実感した」
「何人くらいやられてんの?」
「ざっと20」
「うわぁ」
もーやってらんない、と呟いた春日井の声は疲れていた。よっぽど面倒臭かったんだなこの女。それにしても表世界も物騒なこって、そう返すと春日井の顔が訝しげなものに。
「…アンタそれ本気で言ってんの?」
「なんか悪い事言ったか俺」
「……いや、そうだったわ昔から変な所抜けてんのよね」
「?」
「ま、おいといて。今日多分授業にならないと思うから帰っていいよ、風紀委員長もなんかどっかお出かけするって言ってたから」
「よっしゃ!じゃあ帰るね」
「バイバーイ」
少し腑に落ちない所もあったけれど別に良いのなら良いか。先生公認なのでめでたい頭の俺は久し振りのサボりを満喫しようとルンルン気分で職員室を出て行った。
「…その無自覚な所が気に食わない」
「どうかしました春日井先生」
「なんでもないよーん」
筋書き通りに動く
(しかし困った、さてどうしよ)
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