零崎逆識の人間三昧 | ナノ




▼ わたしは灰になりたい


「…もしもしー?生きてる?」
[うに、僕様ちゃんは生きてるんだね。
すーちゃんこそ生きてる?]
「全然。学生つまんねーし、酒飲めねーし、煙草吸えねーし…友達なんていないんだけど」
[だよね。いーちゃんも同じような事言ってたよ。]
「いーくんもか。やっぱり精神年齢がアレだと物足りねーんだよ。そっちに行きたいんだけど、レンが煩ぇし地理的にも面倒だからな。面白い事が全くねーよ…あ、でも笑い話ならあるぜ?」
[でもすーちゃん、なんだかんだ言って学校行ってるんだね。僕様ちゃん吃驚しちゃったよ。あと笑い話って何かな?]
「青春を送ってこいって潤ちゃん言われてさ。つか≪1周目≫の時に制服が欲しいって叫んでたのアンタだろ暴君…いや、玖渚の嬢さんよ。どっちで呼べばいい?」
[どっちでもいいよ?]
「じゃあ嬢さんで。」

昼休み。黙々と皆が弁当を食ってる最中に、俺は1人携帯で陽気に通話している。最初の3日間は弁当は自分の席で、とかいう良く分かんない事を言われしょうがなく座っている訳だが。ちなみに教師は怒ってこない。だって仕方が無い、これも縁があったとしかもう考えたくない面倒だ。

「ねーねー東くーん、先生弁当教員室に取りに行くの面倒なんだけど」
「あーも−勝手にしやがれ。食って良いから邪魔すんなどっか消えろ寧ろ存在消えろ」
「わーい東くんバイオレンスな君もあいしてうー」
「…嬢さん、担任が春日井になった。覚えてるか?墜落三昧の研究所に居た、黙ってりゃ可愛かった女」
[覚えてるよー]
「で、前の教師は名前の読み間違いをしたもんで軽く遊んだ。妹と弟は違うクラスになっちまった」
[すーちゃん名前間違えられんの凄く嫌うよね]
「あぁ、その位読めよ馬鹿ヤローって思うんだよな。で、前に嬢さんが『すーちゃん。もう少しストレートに物事を話した方が、僕様ちゃん好きだな』っつーたから喧嘩と酒と煙草だって言ったんだよ。誰も俺と目を合わせなくなった」
[あはは、すーちゃん昔から友達作るの苦手だもんね]
「そうそう。だから嬢さんが≪仲間≫に入らないかって言ってくれた時本気で嬉しかったんだぜ?
ついでに人識も舞織ちゃんも俺も、風紀委員に目付けられたんだけど。刺青とニット帽と黄色の頭って目立つもんだな、劣性なんてもうどうでも良いけどよー、あ。電池切れそう」
[すーちゃんの頭目立つもんね、僕様ちゃんも人の事言えないけどさ!今度携帯新しいのあげよっか]
「やっぱ目立つか…携帯有り難く貰うよ。変態が10分おき位にメール送って来るから、迷惑メール通知があちらに行かないケータイが欲しい…
いーくん達にもよろしく言っといてくれ。あと住所とかありがとうな。嬢さん愛してんぜ、じゃあな」
[うに、僕様ちゃんもすーちゃんの事だいすきなんだね!じゃ、ばいばーい]

ぴ。

かたん、と置かれた空の弁当箱。目の前にはにやにやとしている春日井の顔。

「…言っとくが今の電話は玖渚の嬢さんに礼を言うためのモンだから」
「………ちぇ、」
「オイ」

お前は何を期待してたんだ。
嗚呼、此方を訝しげに見つめてくる生徒達の視線が突き刺さって、俺のプラスチック製ハートがべきべき言ってる…

わたしは灰になりたい
貝でも良い、取り敢えず煙草吸いてぇ。



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