みんみんと蝉が鳴く。空は青空、どっかの蒼い彼女を思い出す。太陽が眩しい。橙の彼女は元気か?そう、今は夏休み。7月の後半、のはずなのに―…
「このプリントは明日までの宿題です。全問正解しなくちゃ落第ですからね」
「「「えー…」」」
「…ねぇちょっと待てよそこのババア、俺納得してねぇんだけど」
「バ、ババアとは何ですか!?」
「何で全教科のテスト満点だった東吉城君はこのムサい野郎数人と豚の様な体系してるババアに囲まれてなきゃいけねーんですかー。だって今俺私服だよ?俺明日から京都行くんだけど。女の子と遊んでくんだけど」
「ババアとは失礼な!…えー、風紀委員長からの命令です。授業態度に問題があるのでしっかりとこの補修中に行動、身なりを改め学生にあるまじき行為をしないように!もちろんあなたもこのプリントできなきゃ退学ですからね!」
「…身なりっつっても地毛なんだけど。つか義務教育だろーが」
「と、とにかく私は言われた事をしただけですから!終わります!!!」
豚のような先生っぽい女は言いたい事を言うと焦って教室を出て行った。俺フェミニストだけど流石にウエストも顎も2段はちょっと…足ボンレスハムだしね。腹2段腹じゃ済まなさそうだしスーツ似合ってねぇ。つか俺小さい頃の写真見せたのにまだ地毛だって信じてないのか風紀様は。劣勢舐めんな知り合いには赤とか緑とかわんさか居んぞ。
「なぁ東ー」
「…なんだ山岡」
「ツナん家で一緒にプリントやんねーか?」
「ちょ、山本!」
声を掛けられたから振り向くと居たのは山岡と沢田の2セット。アレ、1学期中に進んで声掛けてくれたのこの2人だけ?
「利点は?」
「んー、皆でやればすぐ終わるんじゃね?」
「別に俺すぐ終わんだけど」
「ツナのおばさんがメシ作るって言ってたぜ」
「行かしていただきます」
「現金だー!!!」
「だって腹を空かして殺し合い…いや勉強なんか出来ねぇだろ?」
「今物騒な事言ったよね!?」
と、いう訳で。
「うめぇ!つか女性が作った飯久し振りに食った!」
「どんどん食べてちょうだいね!」
「ありがとうございます!いいなー沢田、こんな美人で料理上手い母さん居て」
「まぁ!」
「俺両親が他界しててこーゆー母親の料理とかお袋の味とか最近食べてなかったんスよ。最近は兄弟で当番制なんですが長男がちょっと料理下手で…」
「そんな…吉城君大変なのね…そうだわ!吉城君うちのツー君と仲良くしてくれてるからお礼にご飯食べに来なさい!」
「え、でも悪いんじゃ…」
「良いのよ!今食べ盛りなのに沢山食べれないと強くなれないわよ!それにツー君がお友達連れてくるなんて久し振りで。獄寺君と山本君と吉城君だけなのよ。だからこれからもツー君を宜しく頼んでも良いかしら?」
「じゃあお言葉に甘えて!もちろん!」
おっしゃ。これでレンが当番の日に逃げる口実出来た!
あの後キャリー片手に風紀委員と地獄の鬼ごっこ〜ドキドキ☆サマーバケーション〜(沢田を巻き込みながら)を無事強制終了させ汗だくのまま沢田宅へ行き沢田母の奈々さんにシャワー借りて飯までいただいている状態であります。いやー死ぬかと思った。まさかキャリーで人殴るとかいう暴挙に出るとは。でも太陽暑いしアイツ等の顔暑苦しいし格好むさ苦しいし仕方がない、そういう運命だったんだ。
御馳走様を告げ後片付けを手伝ってから俺は沢田の部屋を目指す為階段を登り始める。沢田って友達家に呼んだ事ってあんまないんだな。まぁ学校で観察してる時もダメツナダメツナ連呼されてるしな。俺だったら「おいd」の時点で殴りにかかる間違いないな。
…それにしてもよ、
「友達、か…」
両手を見て鼻で笑う。
俺に"あちら側"の友達は居ない。居ちゃいけないんだ。
グリーンピースの心境
(友達だった奴等を"壊した"のは)
(紛れも無いこの両手両足この脳髄)
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