「野球の神サマに見捨てられたぁ?ひゃははははは!!!
だったら俺は全部に、世界にも神にも人間にも忌み嫌われてんよ」
「訳わかんねー」
「あー分かんなくて良い、黙って聞いてろ。まず生まれつきのこの色の髪で周りは普通と違うからっつー理由で近付かなかった。近付くと声の大きな大人にぶちのめされた。何年もかかって漸く心の許せる家賊が出来た。でも、《戦争》に巻き込まれて全員俺から離れていった。悲惨だぜ?長男なんか妹が出来た瞬間に死んだんだ、妹は瀕死だ、両手首から先が無いんだからな!女の子なのに、まだまだ高校生なのに自分の手を失ったんだよ!復讐に復讐を重ねてやっと生きていける、とか思った瞬間に気が付けば人生やり直しだふざけんな!!!」
「東君、」
「質問だ沢田にえーっと…山村だっけ、山口だっけ」
「山本君に決まってんでしょ!?」
「お、さんきゅーそこの女子。
山本、沢田に質問です。
ついつい人を殺してしまった又は訳もなく殺人衝動を度々抱えまーすかっ!」
「人を殺すー!?ないないない!」
「んな訳ねぇよ、普通じゃない」
「普通じゃない?"聞き捨てならねぇな"」
「!?」
「声が!?え、今話してたの山本じゃなくて東君だよね!?」
そう、ちーっとイライラが更に苛ついてきたから声帯模写してやったら吃驚してやんの。その顔笑えるひゃははははは。
「普通?普通ってなんなんだよ。俺はあるぜ?殺人衝動。現に今全神経で理性保ってんもん。
あーやっぱ昨日殴るだけじゃなくて潰した方が良かったな。俺はさ、血を見るのが苦手なんだ。何でか分かるかはい山本」
「嫌いだから…じゃねーのか?」
「ぶー、不正解ー!正解は好き過ぎて、愛し過ぎて許容量越えちゃうからでーす。
許容量越えるとその辺の有機物無機物関係無しに解体しちまう、だから苦手なんだ。何がいいたいかっつーと、飛び降り止めてくんね?あ、死ぬのは大歓迎だからよ。首吊るのも大歓迎。綺麗に死ぬなら睡眠薬やら何やら飲んで冷房ガンガン入れりゃああっという間に冷凍死体の出来上がり、無残に死にたかったら東京湾にでも身投げしろ。死に方なんか幾らでも有るんだよ。溺死に焼死に圧死に感電死にあーもう面倒。とにかく飛び降りんな。」
「…ハッ、変わった引き留め方だな。だけどやっぱりオレは飛び下りるわ。頭のよろしい東吉城様とは頭の構造が違うからオレは今の話分かんねえもん」
「引き留め?やっぱお前バカ?昨日の出会い頭に殴った奴誰が必死に引き留めるんだんな訳ねーだろバーカ。つかそんなに死にてーかそーかそーか。じゃ、俺が殺してやるよ俺やさしー」
「は?」
「何言ってんだよ東君!」
「死にたい死にたいって言ってんのに結局うだうだする奴が俺一番嫌いなタイプなんだよな、死にたいんだよな、俺に殺させろ。そこの2人止めんじゃねーぞ!コレは俺が解体すっかんな!」
「はいはい、分かりましたよう」
「かはは、確かに嫌いそうだな」
後ろに居たのは俺の可愛い可愛い自慢の妹弟。俺は持ってきた本来バットを入れるケースの中身を取り出し、
「んじゃ、軽めに零崎をやるとするか」
にたりと嘲笑った。
さぁ、自殺幇助
(俺は本気だぜ、野球少年よ)
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