零崎逆識の人間三昧 | ナノ




▼ これも因果だというのなら



ちゃりちゃりと手の中で鳴る金属片を見ては溜め息を吐く。

「マジでどうしよ…」

俺と沢田の親父は取引をした。

「…分かった、条件付きなら飲んでやる」
「本当か!?」
「俺の条件を飲んだらな。ひとつ俺以外の裏世界に手を出すな、特に零崎。ふたつ俺のリング戦になるまで俺の存在を明かさない。みっつリング戦が終わるまでこの手紙を誰にも見せるな、終わったら速やかに燃やせ…まぁ人質みたいなモンだよな」
「それ位なら別に構わないが…」
「よっつ。もし俺が沢田の守護者?になった場合、表の裏社会に関わるか関わらまいかは俺が決める。守護者の放棄を認めろ」
「なっ!?放棄するだと!」
「なぁに、保険だよ保険。一応バレたら食い止めるけれどいつ裏世界がこの事を知るか分からない、相手は死線の蒼だ何が起こるか分からない。裏が戦争仕掛けたらお宅の息子、ひどい殺され方されるぜ?」
「………」
「最悪俺が抜ける可能性を考えるんだな。で、どうする?」
「………分かった、飲もう」
「ギブアンドテイクって事で宜しくなオッサン」
「あぁ」

沢田の親父が言うには次期ボンゴレファミリーを統括するのは遠縁の沢田、だったらしいが派閥割れしているらしく、『ヴァリアー』なるボンゴレの暗殺部隊が喧嘩をふっかけてきたそうな。代々継がれてきたボンゴレリング…今はハーフボンゴレリングとなって双方に置いてあるが、その指輪を巡って戦うんだと。ちなみに俺が貰ったのは『天のリング』だそうだ。色は乳白色…んーどう考えても呪われた指輪にしか思えない、しかし俺はホビット族じゃあない。

「腹括るしかない、よなぁー」

この世界にも巻き込まれている。あれだけ面倒事は嫌だと言っていたのにまぁ容易く巻き込まれたこと。
指輪は家賊に見付からない様常にポケットに入れる事にした。家賊に嘘吐くのあんま気が乗らないんだけどまぁしゃーないよなぁ、俺が黙ってなきゃあ沢田死んじまうし。折角出来た表側の知り合い見殺しにするのもねぇ、と散々人を殺してきた殺人鬼が言ってみるのも馬鹿馬鹿しい。

「逆識メシー」
「俺は飯じゃないぜ人識くんや」
「細けぇな…今日の飯は?」
「八宝菜食べたいから八宝菜な」
「へーい。あ、兄貴が今日帰り遅いって」
「うぇーい」

結構な時間ぼんやりしていたみたいで、人識がどたばたと階段を上ってきた音で我に返る。やっべ夕飯の支度しなきゃ。

「人識悪い米といでくれ!」
「分かったー」

指輪をベッドに放り出し、俺は急いでキッチンへ向かった。

これも因果だというのなら
(俺がしたいことをすればいい)


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