いい汗もかいたし、今日はずっと外歩き回ってたから疲れている筈だろう普通。うまい飯たらふく食って風呂で一騒ぎ、いい加減疲れている筈だろうに。
「じゃあ次山本の番な」
「オレー?今んトコはいねーな、でも笹川はフツーに可愛いと思うぜ?」
「この、女泣かせめ!」
「モテる男は言う事がちげーな…」
「バッカ、山本は野球が彼女だろうが」
「そうかもな!」
「この!ちくしょう!」
「ハハハ…」
「十代目コイツの言う事なんて聞かなくていいんスよ」
君達の体力は宇宙ですか。可笑しい俺今眼鏡かけてないし真っ暗闇の中布団に潜っているのに部屋がピンク色の何かで満たされている気がする気のせいカナー?
修学旅行での夜の過ごし方、すっかり失念していた。言い訳するとちゃんと中学生らしい生活してなかったし…夜の過ごし方は枕投げ以外にもあった事を。それは女子の特権じゃない。でも考えてみろよ、花の様に可愛らしい女の子ではなくむさ苦しい野郎共が恋の話を咲かせているのを…ま、まぁ一部コアなお姉様方的には萌えるのかもしれないが俺にしてみればどんな責苦なんだろうかコレは。キツイ。なんで中学生男子の好きな人暴露大会に付き合わされてるんだろ俺。寝たら寝たで後が怖いし、背に腹は代えられないな。
「ダメツナはアレだよな、去年の持田センパイ事件があるからなぁー」
「や、やめてよその話は!」
「どうせ笹川さん狙いだろ?」
「まぁダメツナだしなぁ」
「初恋ってモンは実らねぇもんだ、元気出せ」
「んだんだ」
「縁起の悪い事言わないでよ!?」
「オレは応援してますからね十代目!」
「諦めないのが大切って言うからな」
「獄寺君、山本…うん、そうだよね」
………えーなんだろうこの亜空間。僕この展開について行けなさそうです。(山本と獄寺以外の)モテない男子共が固い友情を結んでいくシーンに思わず頬が引き攣るのを感じた。
「じゃあ次は東だな!」
「その流れがイマイチ理解できないんだけど」
「簡単だ、好きな女子居るか?」
「んー、基本女子は皆可愛いよね」
「そうだこいつも女泣かせだった」
「本命は?ほら吐けよ東友達だろ」
「昨日まで散々人の事ビビッて避けてた癖に良く言うわな…居ないよ。居たとしても愛人止まりで」
「うっわ最低」
「光源氏の如く皆を平等に扱ってるって事で」
「それもっと最低だぞ」
巻き込まれたのでさらりと思った通りの事を言った筈なのに帰ってきたのはブーイング。え、東くん泣いちゃうけどいいの?いいのかな?
「東の本命って今日のあの赤いお姉さんだろ?」
「誰だよ赤いそのお姉さんって」
「あ、俺見たわ。清水寺で東にくっついてたグラマーな女の人?」
「それそれ。あん時の東超面白かったのな」
「山本ちょっと黙ろっか」
「山本それもうちょい詳しく」
「お姉さんが東の顔におっぱ」
「止めろよォ!」
くそうピンクのオーラにやられたみたいだ、悲しい事に味方はゼロ。どうやってこの状態を乗り切りゃいいんだよ。ちょっと眩暈と頭痛がしたのは内緒だ。
恋してますか?してませんか?
(夜はまだまだ長い)
prev / next