(Side:Tsuna)
あああああどうしよう、どうすればいいんだよ!オレは校長室を出た後、どうすれば良いのかちっとも思い付かなくて、百面相しながら廊下を歩いていた。停学だったら別にどうでもいい。だってダメダメなオレの事だ、どうせ授業に出たってxとかyとか分かんないし寝てるだけ。出ないと一緒だよ…
でも退学は違う。退学なんて、退学なんてしたら―――京子ちゃんが見れなくなる!
京子ちゃんこと笹川京子はオレのす…好きな人!でも京子ちゃんは並中のアイドル的存在だし誰にでも優しい。この前、傍迷惑な赤ん坊のリボーンのお陰(仕業?)で少しは近付けたけれど、まだまだ彼女は雲のような存在。どうしよう…そんな事を考えていると何故かリボーンの声が聞こえてきたり、実はそのリボーンが頭に乗っけてた変なペットだったり、リボーンのアジトから獄寺君が出て来て大量のダイナマイトを渡されたり…
とにかく結局リボーンに死ぬ気弾を撃たれ、気が付いた時には校庭に立っていたオレ。煙は立ってるわ地面は割れているわ俺パンツ一丁だし、最悪な事にあの教師、根津がやって来た!もーおしまいだぁ!!!
「獄寺と沢田だな!グラウンドで何をしているかーっ、即刻退学決定…ッ!?」
「15年前のカプセルは出て来なかったが、代わりに40年前のカプセルが出てきたぜ。なんでエリートコースのお前のテストが、平凡なうちの中学のカプセルに入ってるんだ?しかもこの点数、んだコリャ!?」
「そ、それは…た、他人の空似だ!同姓同名の奴はそこら中に居るだろ!そして私が探せと言ったのは15年前のカプセルではなく、40年前のカプセルだ!ふんっ、無駄手間だったな!これで貴様等は退学d「おーいおいおいおい、楽しそーな事してんねぇ、俺も混ぜろや」東!?貴様はどこに行ってた、それに煙草を吸うな!退学だ退学!」
「退学?ハァ?お前頭沸いてんの?」
唐突に、いきなり土煙の奥から東君はやってきた。でももう俺達、退学っぽいよ…
何コイツ、馬鹿なのか?阿呆なのか?俺は目の前で俺を罵る存在、こうはなりたくないなという、大人の代表例をじっとり冷めた目で見据えていた。あーやだやだ。権力ばかり振りかざして虚勢を張る奴は大っ嫌いだ。
「義務教育ってよー、国が義務付けてんだろ?退学無理だっつーの。それにさ、もうちょい質上げようよ」
ぺろん、と出した紙はネズミの教育なんちゃらっつー紙。これどう考えても偽モンだろ。
「紙の質、字体、色全て違うじゃねーか、公立中学何考えてんだ?大体他人の空似とか無いに等しいだろ。現にお前並盛の出だろ?ちゃーんとしっかりくっきりさっぱりめっきり根本から調べてやったよ。4丁目とかそこじゃねぇか。大学も5流!春日井を見習え春日井を。
っつー訳で教育委員、あとよく分からんが保護者の会がお話したいそうで。」
「そ、そんな…!」
「つか紙見た瞬間に声上擦って、顔色悪くなって怒鳴り散らすって、オレが犯人って言ってるようなモンだろ」
にやりと笑うと崩れ落ちたネズミ。ざまーねーな、ひゃはは。
「それに」
「まだ有るのか…!?」
俺は低く低く耳元で囁いてやった。玖渚友に調べてもらううちに、非常に面白い記述を発見したのだ。こんなちっぽけで、何もできないただのクズが、とんだ夢を見ていたモンだ。
「あなたほどの実力で、澄百合に行けるとでも思ってたのか?」
その意味を読み取ったのかネズミはへたり込んだ。てててて、と走る音がしたので見るとパンツ一丁の沢田と獄寺。小動物チックですねー。
「ありがとう東君!」
「良いって、俺知り合いに調べてもらっただけだし」
「十代目を退学なんかさせませんよ」
「それに今時のテストって余裕だなゆとり乙」
「チョロいっすね」
「んなー!?」
俺と獄寺が手にしていたのは100点の答案用紙。
ゆとり教育のせいにしとけ
(大器晩成型なんだよ、うん)
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