「何故ですか」
アレこれは夢じゃないのか。抓ってみる…痛くない。だよな、だって眼鏡掛けてないのに俺の目にゃちゃんと周りがコールタールの海じゃなく草原に見えるもの。何このグリーングリーン。あ、グリーンもう1つ足すとあのいけ好かない腐れ変態クソ野郎になっちゃうから要注意ね。そう目の前一杯に広がる緑、そして仏頂面の六道骸。
「いや何故って何が?」
思い当たる節…寝る前に潤ちゃんといちゃついてたのを陰から見てリア充だとでも思ったのだろうか。残念ながらまだそこまで進んでないですよ、えぇ…
「何がって、なんで契約したんですか!」
「契約ゥ?最近セールスには会ってないしポイントカード発行して無いぜ?」
「そういう契約じゃなくて…あぁもう!」
「?」
眉間を押さえながら六道が話したのは、大体こんな感じ。
「憑依弾…あぁ沢田綱吉から聞きましたか。その憑依弾を使って他人に憑依するには僕か僕が憑依した人間、叉は三叉槍で少しでも良いから傷を付ける事なんです。流石に裏世界に手を出したら危険だと思って何もしなかったのに何故自爆しているんですか!?
え、刃物に触ってない?そんな馬鹿な…黒曜で最近怪我しませんでした?…それですそれ!その破片、多分僕の三叉槍が刃こぼれしたんだと思います」
な、なんだってー。
皆さんお分かり頂けたであろうか。六道達御一行がドナドナされるのを見届ける時フラッフラだった俺は地面に手を付いて怪我をした。あの時はガラスが刺さったのかな程度にしか思わなかったのにまさかそんな事になるなんて…某戯言遣いみたいなフラグの立て方&回収の仕方に我ながら反吐が出そうだぜ。
「…でもその想躁術紛いな事しなきゃ俺を操れるって事はねーだろ?やんなきゃいいじゃん。これ以上傷物になっても別に何とも思わないしさ」
「貴方じゃなくて貴方の周りが」
「今更感しかしないと思うぜ?昔よりはやんちゃしてないと思うし」
「…先程から思っていたのですが貴方が大人びているのはそれが原因ですか?」
「ん?ってなんだコレ」
六道がじっとり見つめてくるのでなんか変な格好してたか俺?と見詰め直して気が付いた、声も幾らか低くなってる俺の格好はどう見ても今の俺じゃない。
「これは…≪1周目≫の俺か」
「どういうことです」
呟きを拾ったのか少し険しい声色になった六道。まぁそうカッカすんなよ。
「…別に話しても良いぜ、裏世界を知っているなら問題ない」
「何をですか」
「輪廻を回っているのは少なからずお前だけじゃないって事さ」
輪廻の果てを見ないか
(長い夜は始まったばかりだ)
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