黒曜ヘルシーランド――数年前までは賑わっていたが土砂崩れの為閉鎖、取り壊す費用も無く現在は廃墟と化す…成る程ねぇ、やんちゃな糞ガキ共がたむろするにゃちょうど良い場所だ。あれから自転車を必死に走らせ十数分。荷台に縛り付けていたストーカー(仏)を引きずりながら立ち入り禁止の看板を跨ぐ。
「おーおー、荒れてんなぁ」
草はボーボーだし犬の死体は転がるわ血の臭いはするし。しかも何アレ、地面に穴空いてるんですけど。ちょうど良いじゃないこの仏さん投げ入れとこ。よしこれでOK。さて奥に進みますかー。
「…あっちに行かなくていいかな」
少し奥に進むとニ岐の道が。片方の奥から少し爆撃音、というか何というか不吉な音が聞こえるのでそっち行くの止めよ。無駄に首突っ込みたくないし?日頃培ってきたスルースキルで華麗にスルーしフラグを無闇に乱立しない方針で行きましょう隊長。
さてさて、歩く事数分。俺の前には立派な廃墟がそびえ立っています。アレだ、良くあるよねこういう心霊スポット。しかも居るのは幽霊じゃなくて家の無いオッサンもしくはハイエース(黒)ブイブイ乗り回してるスウェット&キ●ィちゃんサンダル履いたカップルだよな!
「うっわ…」
中はまさしくThe・廃墟と断言しても構いやしないだろう。転々と落ちている菓子の袋がここに誰かが住み着いている事を酷く示唆させた。1階を探索したが、使える階段は1つしか無かった。他は全部壊されていたので奴さんは余程自信があるらしい。まぁ対沢田だしな、俺イレギュラーだし仕方無いよな。でも手ェ出したのそっちだしーしょうがないよなー。
「………はぁ」
他の階も大体そんな感じ。適当に部屋を回ってみたけれど人は居やしない。気配はするんだけど。なんだ、裏っぽいけど裏っぽくない。消し方は沢田の赤ん坊に似ているけどなんとなーく呪い名っぽいんだよなぁ、どっかの分家が潜り込んでる?ま、良いか。いい加減考えるのは面倒臭い、大きな扉――ボウリング場の扉を蹴り上げた。金属が軋む嫌な音。埃と土が舞い、奥に居る奴の顔を曖昧にさせる。
「…やーっとお出ましか。で、こんな所で何やってんのかなキミは。嘘吐いたら針でぶん殴るぞ」
「クフフ、それは怖い怖い…隠すだけ無駄な様ですね」
「ひゃはは怖いだろー、俺鬼だもん仕方無いわな」
「えぇ、噂だけは聞いていましたが本物に会えるとは光栄です。初めまして、零崎逆識。僕の名前は六道骸」
奥に設置されたソファーに座るその男はそう名乗り笑った。
騙しあいなら得意な方です
(ただし苦手はありますが)
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