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「ホワイトスター芸能事務所の一人娘白星花といいます。」
『はぁ、』
イン喫茶店にて。
先ほど声をかけてきた女の子は白星花さんというらしい。
後ろの方にいた男の子たちは違う席に座ってこっちをみている。
『あ、えっと。桜坂葵といいます。』
挨拶をしかえすと少しの沈黙が訪れる。

「あの、桜坂さん。」
『は、はい!』
下げていた視線を白星さんに向ける。
「いきなりごめんなさい。あの…、
アイドルになりませんか?」
『えっ、?』
カチャン、と甲高い音を立てながら、制服を着た
店員が入り口のところで頼んだ紅茶を置く。
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい、」
にこり、と面上にかわいらしい笑みを刻んで、
制服のスカートを翻し、店員さんは踵を返した。

それより、今目の前に座る彼女はなんと言った?
アイドル…とか言わなかった?
『あ、アイドル…ですか、?』
言われたことがうまく脳内で処理できず、
聞きかえす。
「はい。あなた以外に、男5人…グループを組んで…、」
『………。』
アイドルってあれだよね。お兄ちゃんの大好きな桃原まりか、
みたいな子のことだよね。
『あの、お気持ちは嬉しいんですけど…私にはそんなすごいことできません』
「そ、そんなことない!!」
ガタンッと大きな音を立て立ち上がった白星さん。
私は彼女の気迫に気圧される。
別の席で見ていた男の子達が目を見開き、こちらを見ていた。
喫茶店全体が静まり返り、店内にいる全員の視線が白星さんに向けられた。
「私は、感じました、!!あなたのアイドルになる素質を!」
『……………!!』

私も目を見開く。
どうしよう、すごく嬉しい。
ドキドキと胸が高鳴るのを感じた。人にほめられたことは全然ないから、
白星さんの言葉はただ純粋にすごく嬉しかった。
私の決意がゆれる。
「私はあなたならトップアイドルになれると思ってる。」
ぐらぐら、
「あいつらと一緒に、!!」
少し、思ってしまった。
この人と一緒なら、できるんじゃないかと。
私ができない、とはき捨てた可能性を可能にしてしまうんじゃないかと。


私は頷いていた。






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