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「ああぁぁああ!緊張するなぁ!本物のまりかちゃんと対面やで!」
『まりかちゃんはお兄ちゃんのために来るんじゃないけどね。』
電車に揺られて早10分。
私とお兄ちゃんは中央パークに向かっていた。
お兄ちゃんはアイドル、桃原まりかの大ファンで、
今日、今向かっている中央パークのイベントでその桃原まりかが
ゲストとしてでるのだ。
先ほどから横であーだこーだうるさいのはそのせいだ。
『ほら、お兄ちゃん。あと五分ぐらいだからもう少し黙ってて。』
こちらを見ていた人たちが苦笑いをしながら目線を外す。
やっぱりみられてた…!
時々どっちが年上かわからなくなるのだが、私は悪くない。
断じてだ。










「まりかちゃーん!!」
中央パークに着くや否やイベントステージに走っていったおにいちゃん。
まだまりかちゃんはいませんよーって…。
ステージ前で誰もいないステージに叫ぶ兄を無視し、パーク内をうろつく。

『いろいろあるなぁ…。』
“魅せる”人が一生懸命だから観客も笑顔になれる。
それを知っているから私はこういうイベントが好きだ。
いつか“魅せる”人になってみたいが、一生無理だろう。
一心不乱にダンスを踊る少年に一つ笑みをこぼし、マジックショーをやっている
ステージに足を向けた。







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