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とりあえず事務所に来て欲しいと言われた私たちは
白星さんについていき、(もちろんお兄ちゃんは置いてきた。)
白星さんのお母さんが経営するホワイトスターに来ていた。
「花―…っと、運に恵まれたみたいね。」
そこで私たちを出迎えたのはスーツを着て、長い髪を一つに束ねた女の人。
『(わぁ…っ、綺麗な人…)』
一目みてわかる。白星さんのお母さん。
「条件達成よ花。」
『条件?』
聞きなれない単語が聞こえ、オウム返しで聞き返す。
「あぁ、葵ちゃんは知らなかったけ?」
私の声を拾った侑吾くんが軽く説明をしてくれた。
『へぇー…』
だ、だからあんなに白星さん必死だったんだ…。
彼女のお兄ちゃんとの掛け合いを思い出し一つ苦笑いを落とす。
そりゃあ必死にもなるはずだ。
侑吾くんと話してるうちに社長さんと白星さんの話はひと段落ついたのか、
背を向けていた白星さんがその長い髪を揺らしこちらを向く。
そして口を開いた。
「グループ名は“CRASH”よ。」
『CRASH…?』

「…事故とか衝突とか…あまり良い意味ではないな…」
一間を付き、怜くんがボソリとつぶやく。
「おまえそういうこと言うなよ!いい流れなのにっっ」
私は自然と、口元に笑みが浮かんだ。
『良いんじゃないかなぁ。』
「……?」
みんなの視線が集まる。
でも私は笑みを隠せない。
『だって、このメンバーが集まったことが大事故みたいなものでしょ?
それくらい衝撃なことだよ。だから、これから頑張ろう、CRASH!』
私はぎゅっと拳を握る。それくらい、今の私はワクワクしてる。
不安があるかって聞かれたら肯定を取るだろうけど、それを上回るぐらい
ドキドキが勝ってるんだ!
「…CRASHかぁ、へへっ」
「CRASHねぇ」
「俺はべつに何でも」
「なんかかっこいい名前だなぁ」
和気藹々とする空気。でもそこに水を差す言葉が降りかかる。
「だっせェ名前だな」
桐くんのその言葉に一瞬空気が固まった。
「オレが新しく命名してやる“黒瀬桐とその他5名”でどうだ。」
…彼は空気が読めないのでしょうか。
「ネーミングセンス0だな。」
怜くんの言葉に同感した私は悪くないと思う。
「やんのかコラァ!のっぺらぼーー!!」
「…うるさい。」
「ああ゛!?」
桐くんと怜くんのまるで漫才みたいなやり取りに
笑いがこみあげてくる。
この二人のやり取りも、2人の間に割って入る順平くんもオロオロしながら
桐くんの服をつかむ一彦くんも静かに笑って見守っている侑吾くんも
今の私には笑いの材料にしかならなくて
『ぷっ、あははははっ!』
噴き出した。
「って、何笑ってんだこらぁーー!!」
『あははっ、ごめんごめん。』
だって、シュールすぎて。
目にたまった涙を指でふき取る。
『これからよろしくね、みんな!』
笑顔でみんなを見る。
みんな少し固まってしまった。
…まぁた、お見苦しいものをみせちゃったな…。










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