第二十二章
ピノッキオは泥棒ズを発見し、忠実であったことのご褒美として自由の身となる
それから
この てん の内の1匹が、彼らの群れから離れながら、番犬小屋のほうへ行き、小声でひそひそとこう言いました。
「こんばんは、メランポ」
「ぼくはメランポって名前じゃないよ」と人形が言いました。
「おお、では誰なんです?」
「ぼくはピノッキオ」
「
「番犬をしているよ」
「おお、メランポはどこ?この小屋にいた老いた犬はどこへ?」
「どうやら今朝死んだ」
「死んだ?かわいそうな獣!彼はとても素晴らしかった……!しかし、あなたのご人相から判断するに、あなたもまた私には上品なたしなみのある
「申し訳ありませんが、ぼくは犬ではございませんので……!」
「おお、あなたは何?」
「ぼくは人形だよ」
「で、番犬をやっているの?」
「残念ながら、これがぼくの
「それはヨシとして、私は亡くなったメランポと取り決めていたものと同じ契約をあなたに提案しますよ、あなたはきっと大喜びでしょうよ」
「え、この契約ってのは、どんな?」
「私たちは週に1回ここへ来ます、これは従来からそうなのですが、この鶏小屋に夜 訪問いたします、それから私たちは8羽のめんどりズをむこうへ持ち去ります。このめんどりズのうち、7羽は私たちがたいらげまして、残り1羽をあなたに差し上げましょう……っていう条件付きで、良く分かりましたよね、あなたが眠りから覚めても、決して気まぐれに
「メランポはこんなことしていたの?」
と、ピノッキオは尋ねました。
「このようにしていたともさ、私たちと彼との間にはね、
「あまりにも
ピノッキオはそう返事をしました。それからこの確実に脅しに来ているやり方に頭がぐらぐらし、まるで心から望みが叶ったかのように言いました「また話そうね!」と。
4匹の てん は、その言葉に一点の疑いも持たないで信じ込み、そしてサッと一目散に鶏小屋へ行き、犬小屋のMAX近くにまさに立ち止まりました。それから
ドアを閉めたのはピノッキオでした。閉めるだけでは飽き足らず、より
それから吠え始めました。それは彼自身が番犬であるかのように「
この遠吠えによって農夫はベッドから跳び上がり、
「新入りよ、何事だァ!?」
「泥棒だァ!」
ピノッキオが返事をしました。
「どこや?」
「鶏小屋や」
「今すぐ降りてやるからな」
実のところ、農夫は「
駆け足で鶏小屋に入り、それから4匹の てん を素早く引っ捕らえ、袋の中に閉じ込めまして、彼は てん たちにご満悦のなまり口調とともにこう言いました。
「ついに うぬら 、我が手に堕ちたな!うぬらを罰することは出来るが、そのような卑怯なことはせぬ!そのかわりに、うぬらを近くの村の飯屋の主人に持って行くことで私は満足することにしよう……きっと主人は うぬら が、(訳者注※料理に)ふさわしくなるように皮を剥ぐであろうが、なに、気前の良い善人類というものは、我のように、こんな小さな盗みなどは気にせんものよ!」
そして農夫はピノッキオに近づき、ずいぶんと愛でて、撫でさすり始めました。それから気になったことをピノッキオに聞きました。
「どうやってこの4匹の手癖の
人形はその瞬間、彼が知っている
「てんズが麦打ち場に来たとき、お前は寝ておったのかい?それても目覚めてた?」
と農夫は続けて問いただしました。
「寝ておった」とピノッキオは答えました。
「でも、てんズの井戸端長話で起きたんですわ、で、1匹がわざわざここ・ぼくの睡眠のための小屋へやって来て『吠えてご主人を起こさないと約束するなら、私たちは美しく羽をむしられたメスの若鶏を1羽あげますよ……!』 理解したかァ?
「ヨシ、いい子だ!」
農夫はそう叫び、
「その価値観がきみの名誉を作るんだ!
そして、彼にかけていた番犬の首輪を外してあげました。
◆出典元
『ピノッキオの冒険』 AVVENTURE DI PINOCCHIO
作 カルロ・コッローディ Carlo Collodi
出版社 Felice Paggi Libraio-Editore 出版年 1883年