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シズクと一緒にいるようになって一体どれくらいの時間が過ぎたんだろう。

気づいたら俺は、起きて、セックスして、疲れたら寝て。その繰り返しの1日を送っていた。気だるい体はどんどん筋力が落ちて最近は何をするのも億劫になってきている。シズクはそれを満足そうに眺めていたが、俺にはなんだかどんどん、1日が短くなっているように感じていた。
それはもしかしたら人として最低限必要なこと以外は全てがシズクに塗り固められているからだろうか。俺の1日は彼以外に認識できるものが少ない。

シズクはそんな俺との日々をいつか、凍ったばかりの朝の氷に例えたことがあった。

「氷牙は雨が降ったあとの地面で凍る貼ったばかりの水溜りの氷みてえだ」

まだ誰も踏んでいない白くてまっさらな氷。
でも、やがては誰かに踏み割られる。透明な氷に白い蜘蛛の巣を張り巡らせる靴底。その蜘蛛の巣のひび割れもやがて下から滲んだ黒い雨水に塗りつぶされる。

それを、俺みたいだと、シズクは言った。

「なあ、名前を呼べよ氷牙」

俺を塗りつぶそうとする冷たい声が求める。

「…………雨音」

気がついたらまた、俺は抱き潰されて気絶するように眠っていた。

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