「あのさ、黒子っち。火神っちってどんな人っスか?」
「…どんな人、ですか?」
「うん、性格とか」

黄瀬君が練習試合をきっかけに火神君を認めて、一週間が経とうとしていた。
僕が一人でストリートでバスケをしていたら、偶然通りかかったらしい黄瀬君が話しかけてきた。
それから少し一緒にバスケをして、暗くなってきたから帰ろうと、家路を歩いているところだった。
黄瀬君に送ると言われ申し訳ないので断ったのだが、もう少し黒子っちと話したいんス、と言われれば、断れるはずもない。

「優しい人だと思いますよ、すごく。情熱もあって、良い人です」
「……青峰っちに似てるっスよね」
「…そうですね、プレイスタイルや体格、他にも沢山」

本人は気づいているのか、その頬は少し赤みを帯びていた。
ぼーっと地面を見つめて、足だけは止めずに。
それだけで黄瀬君が何を考えているのか分かって、僕は強く唇を噛み締めた。
また、光の方へ黄瀬君は行ってしまうのか。
寒くて暗い影を通り越して、暖かくて明るい光へと。

「…聞いてもいいですか?」

僕の問いに、黄瀬君はハッと地面から僕の顔に目線を移した。

「あ、うん。どうしたんスか?」
「…青峰君とは、どうなったんですか?」
「…あー…えっと…」

言葉を濁して頬をポリポリとかき、苦笑いを浮かべる。
そんな彼の返答を待っていると、後ろから聞きなれた声が僕を呼んだ。

「…あれ、黒子?…と、確か黄瀬、だったか?」
「あ、火神っち!」

さっきとは打って変わって笑顔になった黄瀬君は、火神君の隣に駆け寄った。
名前、覚えててくれたんスね!嬉しいっス!
そう言いながら嬉しそうに肩を組んで、話しかけている。
火神君もうっとおしいと言いながらも、黄瀬君の腕を振り払いはしなかった。
そんな二人を、僕は隣で見ていることしか出来ない。

「………」

この、胸の奥から湧き出てくるものはなんでしょうか。
モヤモヤ、イライラ。
また僕は、憧れている光に嫌な事を思ってしまうのでしょうか。
大切な光に、友人に。
でもそれは、黄瀬君の所為でもあるんですよ。

無意識は罪。
その言葉が一瞬、僕の頭を横切った。


‐END‐

3に続く



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