にらめっこ
「ねー黒子っちー、何かして遊ばないっスか?」
「なんですか、いきなり」
「だってまだ皆来ないし、暇じゃないスか」
「僕は別に暇じゃないです」
「そんなこと言わずにさー!ねっ!なんかしよーよ!」
「…じゃあ、一回だけですよ。それで、何するんですか?」
「やった!えっとね、…にらめっこ、とかは?」
「嫌です」
「早っ」
「にらめっこなんて、黄瀬君ハンデありすぎじゃないですか」
「ハンデ?」
「キミの顔をずっと見ていて、笑わないわけないじゃないですか。僕を笑い殺す気ですか」
「へっ!?え、ちょっと待って!?どういう意味っスか!?」
「そのままの意味ですが?」
「それってつまり、俺変顔しなくても笑える顔ってこと!?」
「そういうことです」
「ヒドっ!俺これでも人気モデルなんスけど!?一応女の子からカッコイイって言われてる顔っスよ!??」
「でも僕には黄瀬君の人気モデル(笑)の綺麗な(笑)カッコイイ(笑)お顔は年中無休で変顔してるようにしか見えないです」
「途中途中の(笑)止めてほしいっス!!」
「なので、にらめっこ以外にしてください」
「納得いかないっス!なら一つ聞きたいんスけど、普段俺と話してても全然笑ってないじゃないっスか!それは何でっスか!?」
「黄瀬君の顔を見てないからです」
「そんなの嘘っスよ!いつもちゃんとこっち見て話してるじゃないっスか!」
「見てるように見せてるだけです。今だって黄瀬君のこと見てませんよ。キミを見てるようで、本当はキミの後ろや違うところを見てますから」
「ちょ、衝撃的事実なんスけど!」
「最後に黄瀬君の顔を見たのは、黄瀬君が一軍に入ったばかりで僕がキミの教育係になって、初めの挨拶をした時ですね」
「つまりは初対面の時だけじゃないっスか!」
「そうですね」
「あれ、でもその時だって笑ってなかったっスよ!?」
「我慢して耐えてたんです。挨拶が終わって僕すぐに部室に戻りましたよね?そこで思いっきり笑ってたんです。耐えてた分、お腹痛くなるくらい笑ってしまいました。あれ以来黄瀬君の顔は見てないです」
「そんな…っ、いくら黒子っちでもそれはヒドいっス…!俺ずっと黒子っちのこと親友だと思ってたのに…!!」
「すみません、僕は思ってなかったです」
「…じゃあ!確認させてほしいっス!」
「確認、ですか?」
「黒子っち、ちゃんと俺を見てくださいっス!!」
「丁重にお断りさせていただきます」
「これだけは拒否権あげないっスよ!」
「ちょ…っ、黄瀬君、なんで僕の顔掴むんですか…っ」
「俺を見てもらう為に決まってるじゃないスか!これだけ近づければ他は見れないっスよ!」
「や、やめ…っ!……、…ぶ……」
「ぶ…?」
「ブッフォっ!!!!!!」
「!??」
「ふは…っwwww黄瀬君の顔がwwww…くくく…wwwwww変な…顔…っwwwwwwひーーwwwwwww」
「」
「おなっ、お腹が…っwwwww苦し…っwwwwwwあはは…っwwwwwwwwwwwwwwww」
「」
「よーっす、あれ、お前らだけか?てか、テツ蹲ってどうしたんだよ?」
「…う…、うわぁああああぁぁあん!!!青峰っちいいいいいい!!!」
「うおっ!?はっ?なんだよお前らっ?」
「ひーーーーーっwwwwwwwwwwwwww」
─END─