もう一度
※本誌ネタバレを含みますので、ネタバレ苦手な方はバックでお願いします。
決勝戦のあの日。
あの時僕は思ったんです。
仲間ってなんですか。
勝利ってなんですか。
バスケってなんですか。
頭の中にはそんな言葉しかなかった。
初めて絶望と言う言葉の意味を身を持って知りました。
荻原君の顔を見て、キミの心中が痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられるようでした。
皆を止められなかった自分にも悔しくて、涙しか出なかった。
僕も初めは見て見ぬ振りをしてきたので、自業自得でもあるのですが。
でも悔しかった。
苦しかった。
もうこんな思いは二度としたくない程に。
だから逃げるために、自分を守るためにやめようとしました。
あんなに楽しかったバスケを。
決して荻原君への償いなどではありません。
そんなことキミは望まないと思います。
でも荻原君の言葉で目が覚めました。
『黒子なら必ずまた立ち上がって氷を溶かすこともきっとできる』
すごく、僕の心に響きました。
空っぽだった胸に、一つの火が灯りました。
まだ小さくて弱い火ですが、決心を付けるには充分すぎるくらいでした。
僕はまた一からやり直します。
そしていつか皆の目も覚ましてみせます。
キセキの世代と呼ばれるようになってからすっかり変わってしまった皆の目を。
冷め切ってしまった心を。
敗北という叱咤とともに、あの頃の笑顔と思いを取り戻してみせます。
どれくらいの時が経ったとしても、絶対に。
約束します。
だから、もし少しでも僕らを許してくれるのなら
もしこの約束が成った時、まだ少しでもバスケを好きでいてくれてたなら、
キミとまたバスケがしたいです。
一度だけでいいです。
もう一度だけ、小学校の時のように荻原君と楽しみながらバスケがしたいです。
このメールをキミが読んでくれるかも分からないですが、僕は信じています。
キミとまたバスケが出来ると、また皆がバスケへの純粋な思いを思い出してくれると。
また皆で笑い合えると。
その時まで。
黒子
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「…あ、黒子っちー!こっちっスよ!」
「おっせーぞテツ」
「あの、遅くなってすみません。電車が遅れてしまって」
「久しぶりー黒ちん」
「日頃から人事を尽くさないから遅れるのだよ」
「まぁいいじゃないか。よし、全員揃ったね」
「こうして皆揃うのとか久しぶりっスよね。遊びに行くのなんてもっと久しぶりだし」
「だよねー。久しぶりすぎるっしょー」
「ふん、いいから早く行くのだよ。こんなところで立ち話など俺は御免なのだよ」
「そうだね、積もる話もあるだろうが、今は行こうか」
「へーい。ん、テツ携帯鳴ってんぞ」
「え、あ、本当ですね。誰でしょう………、…」
「どうしたテツ。変な顔して、って、何で泣いてんだ!?」
「あー!青峰っちが黒子っち泣かしたー!!何してんスか俺の黒子っち泣かすなんてサイテーっスよ!」
「俺のとか気持ちわりいこと言ってんじゃねえよ。てか泣かしてねーし!」
「どうしたんだ、どこか痛いのか?」
「…いえ、何でもないです、すみません。早く行きましょう」
「ホントにだいじょぶ?どっかで休む?」
「近くにベンチがあるのだよ」
「本当に大丈夫です。心配かけてすみません」
「ならいいっスけど…」
「勝手に俺の所為にすんじゃねーよ黄瀬の分際で」
「いったー!殴んなくたっていいじゃないスかー!てか俺の分際でって何スか!」
「五月蝿いのだよ騒ぐなお前ら」
「………」
やっと。
やっとキミと出来るんですね。
待ちわびたバスケを。
焦がれたバスケを。
─END─
本誌読んでなんか色々黒子っちが可哀想でむしゃくしゃして殴り書きました←
皆最後は幸せになると信じてます。