「…お前、黄瀬とケンカでもしたのか?」

「何ですかいきなり」

「だってよ、お前ら今日一回も話してなくねーか?黄瀬もいつもならウザイほどお前にベタベタひっついてんのに近づいてもこねーし」

「…まぁ、ケンカといえばケンカですね」

「お前に激甘なあの黄瀬とケンカなんて、テツあいつに何したんだ?」

「何って…ナニです」

「…は?」

「しょうがないですね、アホ峰君にも分かるように教えてあげます」

「お、おう」

「僕と黄瀬君が付き合ってることは知ってますよね?」

「…はっ!?いやいやいや!?初耳なんだけど!?」

「それで昨日、僕と黄瀬君が付き合い始めてちょうど一ヶ月だったんです」

「無視か!」

「デートしようという話になったのでその日はショッピングなどをして楽しく過ごして、夜は黄瀬君の家に泊まることになったんです」

「ちょっと待て!俺別にヤロー同士に興味ないんだけど!?」

「恋人の家に泊まるんですから、もちろんそういう雰囲気になって――」



******



「…黒子っち、キス、していい?」

こくりと頷くと、啄むようなキスをされる。
暫く軽いキスを繰り返していると、いきなり優しく押し倒された。
僕に覆いかぶさっている黄瀬君の顔を見上げると、熱っぽい瞳と目が合う。

「…いいっスか?」

「…僕が下、ですか?」

「え?そりゃぁもちろん俺が上っスよ」

当たり前とでも言うようなその台詞にカチンときた僕は、キョトンとしている黄瀬君の肩を掴んで強く押し、倒し返す。

「もちろん…?」

「…ど、どうしたんスか…?」

「もちろんって何ですか?何で僕がネコだと決まってるんですか?」

「だ、だって俺の方が背高いし、黒子っち童顔で可愛いし、そんな黒子っちに攻められるなんて男としてやっぱりどうかと…」

「なら可愛いと言われる僕も男としてどうかと思いますけど?それに背が小さいからってなんで受けになるんですか?」

「えっ、え?」

「僕だって黄瀬君を抱きたいです。その綺麗な顔が快感で真っ赤に染まってぐちゃぐちゃになるところが見たいです」

「えぇっ!?く、黒子っち何言って…!?」

「というか僕元から黄瀬君を抱く気でしたし、下になる気は今日もこれからもさらさら無いです」

「………」

僕に見下ろされている黄瀬君は真っ赤な顔で口をパクパクとさせている。

「なので、キミがネコです。いいですよね?」

言いながら、僕は今だに驚いている様子の黄瀬君の服の中に手を入れる。

「っちょ!ちょっと待って!!…んっ…!」

「待たないです。もう一ヶ月も我慢していたんですから、待ったは聞いてあげられないです」

「や…っ、く、くろ…ち、…ぁ…っ」

「…やっぱり黄瀬君の方が可愛いです」



******



「――と、黄瀬君の処女は僕が美味しく頂いたという訳なんです」

「…あのさ、俺のHPはもうゼロなんだけど…。てか何でこれでケンカになるんだよ?ケンカなんかしてなくね?」

「この後ですよ。全て終わった後、黄瀬君が『酷いっすよ黒子っちぃ…。俺まだいいって言ってなかったのに…。俺だって黒子っち抱きたかったのに…』といじけて泣き出してしまったんです」

「…で、ケンカ?」

「はい。『気持ちよくなかったですか…?』って聞いたら『そうゆうことじゃないっス!…でも、過ぎたことだからもういいっスけど、その代わり次は俺が上でいいっスよね?』なんてありえないこと言い出したのでキッパリ『丁重にお断りさせていただきます』って言ったんです。そしたらそれから口を聞いてくれなくなってしまって…」

「………」

「なぜでしょうか…?途中からは黄瀬君が可愛くおねだりとかしてくれて、喜んでくれてたと思ったのですが…。やっぱり激しくしすぎたのがいけなかったのでしょうか…」

「……俺の中のお前のキャラが一気に崩れたわ…」

「どうしたら黄瀬君話しかけてくれるんでしょうか…」

「……無難に謝れば…?」

「…青峰君お疲れですか?」

「お前の所為だから」

「でもそうですね。やっぱり謝ったほうがいいですよね。何に怒っているのか分かりませんが」

「………」

「では、謝りに行ってきます。………あの、黄瀬君」

「っ!!…な、なんスか?黒子っち…?」

「…昨日はすみませんでした。嫌だったんですよね?…僕とするの…。なのに無理やり…」

「え!?ち、違うっスよ!別に黒子っちとするのが嫌だったわけじゃないんス!!俺だってその、う、嬉しかったし…?」

「…そうなんですか?」

「う、うん。ただ、もうちょっと俺の言うことも聞いてほしいかなって…思って」

「…分かりました。次からは黄瀬君の要望もちゃんと聞きます」

「ホントっスか…?」

「はい、約束します。なので、仲直りしませんか?」

「怒ってたわけじゃないんだけど…、でも、うん。仲直りっス!」

「…ありがとうございます」

「じ、じゃあさ、黒子っち…!」

「はい?」

「次は俺が上でもいいっスよね!決まりっス!」

「え?嫌ですけど?」

「…へ?」

「昨日言ったじゃないですか。僕は下になる気は今日もこれからもないです、と」

「………」

「なのでそれ以外でしたら何でも聞きますよ」

「………」

「…黄瀬君?どうしたんですか?」

「…く、…黒子っちのバカアアアアア!!」

「は!?どこ行くんですか黄瀬君!?…行ってしまいました。なぜまた怒ってしまったんでしょうか…?」

「分かってやれよ…」



─END─

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