相部屋戦争



「…さて、お前たち。今僕たちは楽しい楽しい合宿に来ている訳だが、これから部屋決めをしなくてはならない」

「別に楽しくはないですが…練習すごく疲れました…」

「お菓子食べたーい」

「部屋決めねー。あ?一部屋何人なんだよ?」

「二人なのだよ」

「そう。一部屋二人。一晩二人きりのドキドキイベントだぞ。そこで、だ。問題は誰が涼太と同じ部屋になるかだ」

「もちろん僕です」

「いや、俺だから」

「俺だしー」

「勝手に決めるな」

「真太郎の言う通りだ。勝手に決めるんじゃない。今からそれを決めるんだ」

「どうやってですか?」

「ジャンケンか?」

「そういえば黄瀬ちんはー?」

「涼太は先に風呂に入らせて席を外してもらった。…涼太の裸体を見逃すのは勿体無いが、しょうがない」

「…裸体って…」

「で?どうやって決めんだよ?」

「そうだね…。ここは正々堂々、涼太の可愛いと思うところを言って、誰が一番涼太のことを分かっているかで競うか」

「な…っ!?何故そんな面倒なことをしなければならないのだよ!」

「珍しく緑間に同意なんだけど。そんなんより普通にジャンケンでよくねー?」

「俺もあんまし面倒くさいのは嫌だなー」

「ならお前らは不戦勝、ということでいいんだな?」

「なんでそーなんだよ!」

「…黄瀬君の誘いを断った時の、あのシュンとした顔や仕草が堪らなく可愛いと思います」

「!?」

「黒ちん?」

「おいテツお前まさかやる気か?」

「はい。じゃないと赤司君に黄瀬君が取られてしまうので。黄瀬君との一夜は譲れません」

「…ほう?結構マニアックじゃないかテツヤ。気を落としてる涼太が可愛いだなんて」

「可愛いじゃないですか。耳と尻尾があったなら垂れ下がっていそうなあの表情。それ見たさにわざと誘いを断ることだってするくらい可愛いです」

「黒ちんのあんな恍惚な表情初めて見た…」

「………」

「…さすが腹黒」

「まあ否定はしないが。だが僕は職権乱用してわざと作ったキツい練習メニューを必死になってこなして、汗だくになりながら息を荒げてる涼太の姿が可愛いと思う。それプラス、部活の最中にふざけた涼太にバツとして外周を命じた時の泣きそうな顔はもう愛しいよ。つい外周の量を増やして虐めてしまう」

「…赤司君、キミも人のこと言えないと思いますけど。それに鬼ですか。さすがに黄瀬君が可哀想です…」

「赤ちんのあんな恍惚な表情も初めて見た…」

「黄瀬に同情するのだよ…」

「こいつら黄瀬ホントに好きなんかよ…」

「愚問だな大輝。愛してるからこそ、だ。好きな子ほど虐めたいって言うだろ?」

「そうですよ。青峰君だってよく黄瀬君虐めてるじゃないですか」

「お前らに比べたら俺なんか可愛いもんだよ!一緒にすんな!」

「そうゆうお前たちは涼太のどんなところが可愛いと思うんだ?」

「えー、俺は一緒にスイーツ食べに行った時、笑顔でケーキ食べてる黄瀬ちんが可愛かったなー」

「敦、いつの間に涼太と二人きりでデートを」

「抜けがけなんてズルいですよ」

「そんなこと言われても、俺からじゃなくて黄瀬ちんが誘ってくれたんだもん。食べさせあいっことかして、楽しかったなー」

「なんだと!!ズルいぞ敦!!僕だって涼太と食べさせあいっこしたい!!!」

「ズルいですよ紫原君!!!僕も黄瀬君にあーんしたいです!!!」

「ぅおっ!?いきなり叫ぶなよお前ら!」

「峰ちんは?黄瀬ちんの可愛いところー」

「はぁ?…あー、前あいつズボンのチャック全開で部室から出てきた時があって、それ教えてやったら顔真っ赤にして急いでチャック閉めて、上目遣いで『…誰にも言わないでよ?』って。あれは可愛かったかもな」

「…ズボンのチャックに気づくとか、青峰君いつも黄瀬君のそこばっかり見てるってことですか。…うわぁ…」

「んなっ!?バっ、ちっげえよ!!そんな顔でこっち見んな!!」

「いつも涼太のそこを狙ってるってことか。…許さん涼太は僕のものだ」

「だっから!!ちげえっつってんだろ!!しかも黄瀬はお前のじゃねえ!!」

「最後はミドちんだよー」

「俺は別にないのだよ。そもそも黄瀬は男で、可愛いなんて言葉は不釣り合いなのだよ」

「ムッツリ」

「ツンムッツリ」

「俺はムッツリじゃないのだよ!!」

「俺たちも言ったんだからお前も言えよ。一人だけ言わないなんてズリーぞ」

「そうだそうだー」

「ないものはないのだよ」

「言わなくてもいいが、そうすると真太郎のこと次からツンムッツリって呼ぶからな」

「ツンムッツリ君、お似合いですよ」

「ツンムッツリ…ぶはっ」

「いいと思うよ。ツンムッツリ」

「ツンムッツリって何なのだよ!!やめろ!!」

「それは無理な願いだツンムッツリ」

「言わないツンムッツリ君が悪いんですよツンムッツリ君」

「ツン…ムッツリ…、ドンマ…ふはっ…」

「峰ちん笑いすぎじゃね?」

「ないのだからしょうがないだろう!!」

「ツンムッツリ」

「ツンムッツリ君」

「………、……」

「峰ちんちゃんと息継ぎしてる?」

「…お前ら…」

「ツンムッツリー」

「ツンムッツリ君」

「………」

「赤ちんと黒ちん完全に楽しんでるよねー。峰ちんはプルプル震えてるし」

「…………だろ」

「ん?何か言ったかツンムッツリ」

「小さくて聞こえないですよツンムッツリ君」

「言えばいいんだろ!!?」

「お、やっと言う気になったかツンムッツリ」

「へー、ミドちんあるの?」

「聞いて驚け!!お前らのようなデートとかいうちっぽけなものじゃないのだよ!!」

「ツンムッツリ君が壊れました」

「……声…でけえ……く…、はは…っ」

「俺は黄瀬とキスしたことがあるのだよ!!!残念だったな!!!」

「」

「」

「」

「」

「知らなければ落ち込まずに済んだのに馬鹿な奴らめ!!俺を侮辱するからだ!!!」

「…キス…だと?」

「…今、キスって言いました?」

「…いや、聞き間違いだろ…」

「…そうだよ…。だってミドちんがキスなんてする勇気あるわけが…」

「言うところの事故チューというやつだったが、キスには変わりないのだよ!!馬鹿め!!」

「いくら真太郎でも僕より先に涼太とキスするなんて許さない…!!」

「僕の黄瀬君の純潔を返してくださいこのツンムッツリメガネが!!」

「黄瀬に緑間菌がうつったらどうしてくれんだよテメエ!」

「ミドちん…捻り潰す…」

「はははは!来るなら来い!返り討ちにしてやる!」


******


「………」

「んー、お風呂気持ち良かったぁ。…あれ?きーちゃん?何で廊下で蹲ってるの?リビング入らないの?顔すごい真っ赤だよ?」

「…気にしないでほしいっス」

「…?というか、皆なんでリビングでケンカしてるの?」

「………」


‐END‐

遅くなってすみません!
本当はもうちょっと書きたい内容があったのですが、時間がなくて書けませんでした!←
リクエストありがとうございました!


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